2017

2017-11-11
「Transfer Guide」 2017年11月11日(土)~12月24日(日)

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「Transfer Guide」 展示記録

「Transfer Guide」に関する、掲載プレビュー・レビューのご紹介

 

 

 「Transfer Guide」
2017年11月11日(土)~12月24日(日)

出展作家:加藤 巧前谷 康太郎

開廊時間:12:00~19:00
休廊日:毎週月・火・水曜、11月16日(木)~18日(土)
会場:the three konohana

オープニングパーティー:11月11日(土)19:00~ the three konohanaにて

トーク:
・ 11月11日(土) 17:30~19:00 鈴木 俊晴(豊田市美術館 学芸員)、加藤 巧、前谷 康太郎
・ 12月23日(土・祝) 16:00~17:30 加藤 巧、前谷 康太郎

* * *

このたびthe three konohanaでは、新旧の絵画技法の研究を基に、絵画のあり方を捉え直す作品を制作する加藤 巧(Takumi Kato, b.1984)と、現象としての光を素材とした映像作品を軸に表現を展開する前谷 康太郎(Kotaro Maetani, b.1984)の二人による展覧会「Transfer Guide」を開催いたします。

本展では、「Transfer」という言葉を起点に、これから先の表現を考えるための造形・制作の方法を導いていくことを狙いとします。「Transfer」の語源は、「向こうへ(trans-)運ぶ(ferre)」というラテン語に由来しています。物質の移動だけに留まらず、概念から時代・時間など、作品制作において検討すべき様々な要素を多角的に捉えると同時に、それらを理に適うように結び付けることのできる効果的なキーワードと位置づけます。

本来、芸術の表現は、私たちの現実世界を構成するあらゆる物事から、素材となる対象を選別・抽出する行為と、これらを作品として変換していく行為が、作家自らが設定したルールに基づいているものと言えるでしょう。加藤は、水彩で描いた自らの筆致を卵テンペラの技法で描き直すことで、絵画の制作行為の本質へと迫る作品を制作しています。一方で前谷は、自然・人工に関わらずあらゆる光を自作装置に経由させることにより、映像と人類の根源的位置関係を抽出するかのように映像作品を成立させています。二人の制作プロセスからは、過去と現在それぞれの技術および素材への向き合い方を並列させることで、現代における制作の方法論を拡張させようとする意志が強く見られます。本展では、加藤は近年から取り組んでいる卵テンペラによる絵画作品を、前谷は初めて取り組むUVプリンターによる写真作品を、それぞれ新作にて発表します。

加藤と前谷の二人が本展で指し示すものは、無尽蔵に表現の選択肢が広がるいま現在の状況から、何を選択するべきかの基準を作家自らが自覚を持って取り組むべきであろうという提言と言えるでしょう。ただ時流に任せた表層的な表現に頼るのではなく、先人から学びつつ、いまの技術や価値も受け入れて、過去と現代の双方を等価に捉える姿勢で本質的なものに立ち返ることが、表現の未来を見い出すための一つの指針と考えます。二人の表現を通じて、いまだからこそ考えるべき制作への姿勢とプロセスについての議論が深まる契機になれば幸いです。

なお本展期間中には2つのトークイベントを実施し、いまの表現と言語・論理との接続の関係についても考える機会になればと思います。ぜひこの機会にご高覧賜りますよう、よろしくお願いいたします。

 

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加藤 巧 《Panorama #1》 木材、亜麻布、石膏地、卵黄、乾性油、アクリル樹脂、顔料 20.0 x 91.0 cm 2017 [本展出品予定作品]

 

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前谷 康太郎 《synthesis #1》 布、UV プリント 25.2 x 17.9 cm 2017 [本展出品予定作品]

 

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加藤 巧「ARRAY」展示風景(the three konohana・大阪、2015)[撮影:長谷川 朋也]

 

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前谷 康太郎《Echo of Reality》ビデオインスタレーション/LCD モニター、スピーカー、ガラス、フォグラスシート 15 分ループ
(芦屋市立美術博物館・兵庫、2016)[撮影:表 恒匡]

 

2017-08-29
森村 誠 「OTW | THC」 2017年8月29日(火)~10月22日(日)

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森村 誠 「OTW | THC」 Pre Exhibition<THC> 展示記録

森村 誠 「OTW | THC」 Main Exhibition<OTW> 展示記録

森村 誠 「OTW | THC」に関する、掲載プレビュー・レビューのご紹介

 

森村 誠 <OTW | THC>

[Main Exhibition]  <OTW>
会期:2017年9月16日(土)~10月22日(日)
会場:the three konohana

開廊時間:12:00~19:00
休廊日:毎週月・火・水曜 (※ 9/18(月)、10/9(月)の祝日は開廊します)
レセプションパーティー:9月16日(土)17時~

[Pre Exhibition] <THC>
会期:2017年8月29日(火)~9月9日(土)
会場:Calo Bookshop & Cafe (550-0002 大阪市西区江戸堀1-8-24 若狭ビル5階 Tel:06-6447-4777) http://calobookshop.com/

アクセス:
大阪市営地下鉄四つ橋線 肥後橋駅6号出口徒歩1分
御堂筋線 淀屋橋駅12号出口徒歩5分
京阪電鉄中之島線 渡辺橋駅より徒歩8分

開廊時間:12:00~19:00(土曜日は18時まで)
休廊日:9月3日(日)、4日(月)

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森村 誠 展「Argleton – far from Konohana」展示風景(the three konohana、2015) [撮影:長谷川 朋也]

 

このたびthe three konohanaでは、2年ぶりとなる森村 誠(Makoto Morimura, b.1976)の個展を開催いたします。本展は、the three konohanaでの新作発表に、プレ企画として大阪・肥後橋のCalo Bookshop & Cafeにて過去に制作された未公開作の発表を加えた、2つの個展で構成するものです。

森村がそれぞれの個展で様々な角度から変容させて提示する「都市」のイメージから、私たちが普段持っている「都市」のイメージとの共通点やその差異に意識を傾ける機会になればと思います。ぜひ両企画ともご高覧賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

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一昨年の弊廊での個展「Argleton – far from Konohana」では、森村の表現の深化と展開が強く印象付けるものとなりました。印刷物上の特定の文字や情報を修正液で消したり、カッターで切り取るなど、気が遠くなるような膨大な反復行為や、素材の強調が、これまでは彼の作品の特徴と認識されてきましたが、一昨年の個展ではその特徴はそのままに、「都市(Urban)」の概念をどのように制作行為の中で捉え、変容していくかが、彼の作品制作の主軸にあることが明確となりました。

前回の個展では、国内の日本語の印刷物を本格的に作品の素材に採用し、JRの鉄道の路線や道路を残した関西圏の地図の断片を、パッチワークのように不規則につなぎあわせて、架空の「都市」を作っていくことに専心しました。彼の新たな作品群からは、一様な開発が進められていくことによって露呈されていく「都市」の匿名性や、どんな経済状況にあっても開発が繰り返され、常に構築と解体を求められる、「都市」の逃れられない宿命をも引き出してくれます。これまで、ロンドン、パリ、ニューヨークなど世界の主要な大都市に滞在し、制作をおこなってきた経験が、前回の個展での新シリーズ《OTW(On the way)》にも培われ、彼が幼少期から育ってきた環境としての大阪および関西の「都市」にも向き合っていくことになりました。

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[Main Exhibition]  Makoto Morimura <OTW>
9/16(土)~ 10/22(日) @ the three konohana

本展のメインとなるthe three konohana での新作展では、《OTW》シリーズの最新作を中心に発表します。素材となる印刷物も前回の個展から新たなものを採用し、制作手法もさらに改良とアレンジを加えたものとなり、森村の「架空の都市」はますます変容と非現実的なイメージを加速させていきます。

森村のスタジオがある大阪市内中心部の周辺でも、ここ数年次々とタワーマンションが建設され、既存の建物内にも飲食店などの店舗が入れ替わってオープンするケースが増えています。「都市」が日々変容を続ける現実と隣り合わせの中で制作を続けている彼の実体験は、自らの「都市」の再構築と創造を重ねていく必然性と原動力にもなっています。

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《OTW (under construction)》[部分] 地図、修正液、糸、布 29.7 x 21.0 cm 2017 年

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[Pre-Exhibition]  Makoto Morimura <THC>
8/29(火)~ 9/9(土) @ Calo Bookshop & Cafe

大阪・肥後橋のCalo Bookshop & Cafe で開催するプレ企画では、アメリカの小説家ウィリアム・バロウズに着想を得て制作した森村の未公開作品と、新作を紹介します。1950 年代以降のビートジェネレーション、ニュー・ウェーブSF の代表的な小説家として知られるバロウズの作品の特徴であるカットアップ手法とドラッグにちなんだ作品を、彼の小説の書籍やニューヨークの地図などを素材に2014 年ごろに集中して制作していました。展覧会タイトルの「THC」は、大麻の主成分である「テトラヒドロカンナビノール」の略語です。

ドラッグのような現代の法律で規制されていった前時代の「都市」のイメージは、いまもその一部として片隅に残り続けています。「都市」のイメージは時の経過と共に全て入れ替わるものではなく、新たなものが既存のものと交じり合って、多様性を保持したまま形成していくものではないでしょうか。

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《THC (the map of MTA)》[部分] 地図、修正液 83.0 x 58.0 cm 2014 年

 

2017-06-16
加賀城 健 「Physical / Flat」 2017年6月16日(金)~8月6日(日)

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加賀城 健 「Physical / Flat」 前期<Physical Side> 展示記録

加賀城 健 「Physical / Flat」 後期<Flat Side> 展示記録

加賀城 健 展に関する、掲載プレビュー・レビューのご紹介

 

加賀城 健 「Physical / Flat」
2017年6月16日(金)~8月6日(日)

開廊時間:12:00~19:00 (7月7日(金)~9日(日)は12:00~18:00)
休廊日:毎週月・火・水曜、7月6日(木)、7月13日(木)、7月14日(金)
会場:the three konohana、ホテルグランヴィア大阪26階6106号室(7月7日(金)~9日(日)のみ)

レセプションパーティー:7月15日(土)17時~ the three konohanaにて

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このたびthe three konohanaでは、弊廊では3度目となる加賀城 健(Ken Kagajo, 1974)の個展「Physical / Flat」を開催いたします。
本展は、これまで20年余りにわたる加賀城の制作活動を振り返り、今後の展開を見据えることを目的として、3種類の展覧会で構成するものです。出品作品は新作から過去作、再制作の作品まで、回顧展、新作展といった時間のカテゴリーに留まらない形式にて、彼の制作活動の遍歴を再構成してご紹介する機会といたします。

・ 前期 <Physical Side> 6/16(金)~ 7/9(日) @ the three konohana
・ 後期 <Flat Side> 7/15(土)~ 8/6(日) @ the three konohana
・ ART OSAKA 2017 <New Works / Extention> 7/7(金)~ 9(日) @ ホテルグランヴィア大阪6106 号室

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加賀城は、学生時代に学んだ「染色」の技術とその思考を基に、これまで多種多様な作品を制作し続けてきました。単に染色表現の拡張に留まらず、美術と工芸の関係性を素材技法と視覚の問題から探るもの、布の素材感から触覚へと誘導するもの、独自の制作プロセスによる身体感覚の喚起など、造形表現として多岐にわたる視点・論点を生み出し続けてきたことが、彼の制作活動の特徴と言えるでしょう。また、作品としての形態も、平面絵画を意識したものから、空間性を強調したインスタレーション、工芸品の形態をそのまま残したものなど、美術と工芸の領域を常に行き来しながら、単一の手法や思考にとらわれないスタンスを持ち続けています。

本展では、これまでの加賀城の制作の展開を、二つの要素から捉え、考察していくことを目指します。前期の<Physical Side>では「身体性」、後期の<Flat Side>では「平面性」をそれぞれキーワードに、過去作および再制作の作品を中心に展覧します。さらに弊廊が出展するART OSAKA 2017では、加賀城の個展形式にて新作を中心にご紹介します。

彼の身体性と平面性、2つのスタンスが独立してあるという意味ではなく、双方の要素がその都度作用して作風の広がりが生み出され、彼の表現の本質へ深化していくプロセスを、3種類の展覧会を通じて見出していければと思います。ぜひこの機会にご高覧賜りますよう、お願い申し上げます。

 

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《Discharge―かみなりおこし》 別珍、ハイドロサルファイト 184.0 x 500.0 cm 2006 年

 

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前期 <Physical Side>
6/16(金)~ 7/9(日) @ the three konohana

初期の加賀城を代表する表現手法に、数十メートルの長い別珍の布の上に置いた糊をスキージーで引きずり、その痕跡を脱色や染色で浮かび上がらせる一連の作品があります。彼が直接布に触れた痕跡を際立たせることにより、触感を喚起させると同時に、様々な力の有りようにも意識を傾けさせようとします。染料が布上を自由に動いて、染み込む流れにおける力。柔らかい布に張力を与えることにより、柔らかさと硬さそれぞれを印象付ける力など。加賀城の身体性を起点にした表現には、力の作用に依って複数の視点が同時に立ち上がる傾向が見られます。

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[写真左] 《25 メートルのストローク- 恒星》 別珍、染料 92.0 x 250.0 cm 2002 年
[写真右] 《Strokes テント- 分心》 染料、綿布、バインダー、グラスファイバー、金具 90.0 x 180.0 x 120.0cm 2012 年

 

後期 <Flat Side>
7/15(土)~ 8/6(日) @ the three konohana

30 代に入り、脱色によるモノトーン中心の表現から、複数の染色技法を駆使した色彩豊かな表現へと展開していきます。染色表現がタブローとしての絵画に比肩するために強調すべき要素は、染料が布に染み込んでいく純然たる平面性だと加賀城は常々主張しています。染色の副次的素材であるバインダーやラメ、また別の布の素材をコラージュ的手法として用いることで、物理上の平面性を逆説的に強調する作品を多数制作してきました。近年はシェイプドキャンバスの手法による作品も発表するなど、染色と絵画の対比を通じて、平面表現の更なる可能性の追究に取り組んでいます。

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[写真左] 《Surf’s Up /王国》 染料、綿布、バインダー、ワッペン 220.0 x 300.0 cm 2011 年
[写真右] 《それでも起きて歯を磨く》 染料、綿布、レーヨン、木材 90.0 x 82.0 cm 2015 年

 

ART OSAKA 2017 <New Works / Extention>
7/7(金)~ 9(日) @ ホテルグランヴィア大阪6106 号室

ホテルグランヴィア大阪で開催するアートフェア「ART OSAKA 2017」。弊廊ブースは加賀城の個展形式にて、新作を中心にご紹介します。弊廊で開催中の前期展示も合わせてご覧ください。

□ 開催日時|2017 年7月7日(金)-9日(日)
・プレビュー:7月7日(金)14:00-20:00 ※招待客・プレス関係者のみ
・一般公開:7月8日(土)11:00-20:00、7 月9日(日) 11:00-19:00 ※ご入場はフェア終了の1 時間前まで
□ フェア会場|ホテルグランヴィア大阪 26 階( 530-0001 大阪府大阪市北区梅田 3-1-1)
□ 入場料|¥1,500 / 1 Day Pass
□ 主催|ART OSAKA 実行委員会  http://www.artosaka.jp/

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[写真左] 《Young Views ‒ 水をかえる》 染料、コットンサテン 90.0 x 90.0 cm 2017 年
[写真右] 《素晴らしい地獄めぐり #2》 染料、コットンジャージ、綿布、バインダー 60.0 x 40.0 cm 2017 年

 

2017-02-25
泉 茂 「PAINTINGS 1971-93」 2017年2月25日(土)~3月26日(日)

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泉 茂 「PAINTINGS 1971-93」 展示記録

・泉 茂 展に関する、掲載プレビュー・レビューのご紹介

・トークイベント 「泉茂 ハンサムな絵のつくりかた」 講演記録

 

泉 茂 「PAINTINGS 1971-93」
2017年2月25日(土)~3月26日(日)

□ 会場 (会場間のアクセス情報
Yoshimi Arts
(550-0002 大阪市西区江戸堀1-8-24 若狭ビル3F/地下鉄四つ橋線・肥後橋駅より徒歩1分、地下鉄御堂筋線・淀屋橋駅より徒歩5分)
・the three konohana
(554-0013 大阪市此花区梅香1-23-23-2F/阪神なんば線・千鳥橋駅より徒歩3分、西九条駅より徒歩9分)

□ 開廊時間 Yoshimi Arts:11時~19時/the three konohana:12時~19時
□ 休廊日 Yoshimi Arts:毎週火・水曜、3/16(木)~20(月)/the three konohana:毎週月・火・水曜

◇ 関連イベント
トークイベント「泉茂 ハンサムな絵のつくりかた」 【講演記録】
開催日時:3月4日(土)15:00~16:30
会場:the three konohana
出演:植野 比佐見(和歌山県立近代美術館 学芸員)
参加無料・予約不要

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このたび、Yoshimi Artsとthe three konohanaは、20世紀後半の関西の現代美術界を牽引した代表的作家の一人である、泉 茂(IZUMI Shigeru, 1922-95)の展覧会を共同開催いたします。

大阪に生まれた泉は、画家として芸術家のキャリアをスタートさせ、戦後すぐの1951年に瑛九らと共に前衛的美術団体「デモクラート美術家協会」を設立し、その中心人物として精力的に活動を進めていきます。この頃に版画の制作を始め、1957年には第1回東京国際版画ビエンナーレ展で新人奨励賞を受賞するなど、全国的にも頭角を現します。その後1959年からの約10年間はニューヨークとパリに活動拠点を移して、当時の欧米のアートシーンに強く影響を受けながら自らの表現を構築しました。帰国後は絵画と版画の表現を軸に晩年まで制作活動を続け、また大阪芸術大学の教授に就任して多くの作家を育成・輩出し、20世紀後半の関西の現代美術界の成熟に大きく寄与してきました。

本展では、泉の絵画作品に焦点を絞ってご紹介いたします。ニューヨークとパリでの活動を経て帰国後すぐの70年代の作品をYoshimi Artsにて、80年代以降晩年までの作品をthe three konohanaにて出品する構成となります。彼の死後に残された作品は版画が多く、これまで各地の美術館などで開催された展覧会でも、主に版画作品を取り上げたものが目立ちます。泉の作家活動の原点であり、かつ常に表現の軸にあった絵画に目を向けることにより、彼の美術表現の本質を深く掘り下げることができるのではと考えます。

なお本展の会期中には、泉の大規模な回顧展「泉茂 ハンサムな絵のつくりかた」が、和歌山県立近代美術館で開催されます(1/27~3/26)。また、この和歌山の企画を担当された学芸員・植野比佐見氏をお招きしてのトークイベントを、会期中にthe three konohanaにて開催いたします。

いまの日本の現代美術の状況は、社会の様相の流動化や作品に使用するメディアの多様性によって、過渡期を迎えているように思います。そんな中、20世紀後半の現代美術を再考・再評価して、二つの世紀を歴史の文脈の上で結びつけようとする機運も高まりつつあります。関西のアートシーンの時代の橋渡しとして、泉の作品から現代の美術表現に結びつくエッセンスを見出していく契機になれば幸いです。ぜひこの機会にご高覧賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

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◇ 泉 茂(いずみ しげる) 略歴

1922 大阪市に生まれる
1939 大阪市立工芸学校工芸図案科 卒業
1951 「デモクラート美術家協会」設立(~’57)
1959 渡米、ニューヨークの版画工房「Pratt Institute」客員教授(~’62)
1963 パリへ移住(~’68)
1970 大阪芸術大学美術学科教授に就任(~’92)
1995 逝去

[主な展覧会(生前)]
1957 「第1回東京国際版画ビエンナーレ展」[新人奨励賞受賞]、「第4回サンパウロビエンナーレ展」(ブラジル)
1965 「日本の新しい絵画と彫刻展」ニューヨーク近代美術館など全米8館を巡回(~’67)
1975 「アートナウ’75」兵庫県立近代美術館
1978 「今日の作家シリーズ 泉茂展 -1963年以後-」大阪府民ギャラリー
1980 「泉茂 個展」番画廊(大阪)※生前は’81、’84、’87、’92、’93、’94年に個展開催
1983 「関西の美術家シリーズ 1 津高和一・泉茂・吉原英雄展」和歌山県立近代美術館
1986 「瑛九とその周辺」埼玉県立近代美術館など3館を巡回
1993 「久保定次郎と芸術家-戦後 初期版画を中心に」町田市立国際版画美術館(東京)
1994 「関西の美術 1950’s~1970’s」兵庫県立近代美術館

[主な展覧会(没後)]
1996 「泉茂展」 伊丹市立美術館(兵庫)
1998 「泉茂-初期版画作品を中心に」和歌山県立近代美術館
1999 「デモクラート 1951~1957 -開放された戦後美術-」和歌山県立近代美術館など3 館を巡回
2005 「没後 10 年 遺業・泉茂展」和歌山県立近代美術館
2006 「画家泉茂の写真展」滋賀県立近代美術館
2012 「泉茂 挑戦する画家」堺市立文化館ギャラリー(大阪)
2015 「没後 20 年 泉茂の版画紀行」BBプラザ美術館(兵庫)
2016 「受贈記念 泉茂の版画」徳島県立近代美術館
2017 「泉茂 ハンサムな絵のつくりかた」 和歌山県立近代美術館

[主なパブリックコレクション]
和歌山県立近代美術館、国立国際美術館、伊丹市立美術館、西宮市大谷記念美術館、大阪新美術館建設準備室、大阪府、堺市、兵庫県立美術館、徳島県立近代美術館、東京国立近代美術館、埼玉県立近代美術館、宮崎県立近代美術館、町田市国際版画美術館

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泉 茂 《JF10035》 油彩、キャンバス 130.3 x 162.0 cm 1971 年【Yoshimi Arts 出品作品】

 

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泉 茂 《タイトル不明》 油彩、キャンバス 162.0 x 130.3 cm 1975 年【Yoshimi Arts 出品作品】

 

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泉 茂 《凹む楕円》 油彩、キャンバス 162.0 x 130.3 cm 1981 年【the three konohana 出品作品】

 

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泉 茂 《雲形》 アクリル、キャンバス 162.0 x 260.6 cm 1993 年 【the three konohana 出品作品】

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「Gallery Collection」 2017年1月6日(金)~2月11日(土)

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「Gallery Collection」
2017年1月6日(金)~2月11日(土)

開廊時間:12:00~19:00
休廊日:毎週月曜~水曜
(※ 本展期間中は都合により、開廊時間および開廊日が変更する場合がございます。その際はHPやSNSで随時ご案内いたします。)

出品作家:伊吹拓、加賀城健、鮫島ゆい、NO ARCHITECTS、小松原智史、森村誠、乃村拓郎、加藤巧、笠間弥路
(※ 会期中に出品作家・作品の変更や入れ替えがある場合がございます。)

 

このたびthe three konohanaでは、年明けの1月6日(金)からの1か月余りの期間、「Gallery Collection」を開催いたします。

本展では、ttkで個展を開催した9名の作家の作品を一堂にご紹介いたします。
新作及びttk未発表の作品を多数出品いたします。ぜひこの機会にご高覧くださいませ。

なお本展より、曜日に関わらず開廊時間を12時~19時とさせていただきます。
また本展期間中は当方の都合により、開廊時間および開廊日が変更する場合がございます。その際はHPやSNSで随時ご案内いたします。

ttk開廊5年目に入ります2017年最初の企画、みなさまのご来廊を心よりお待ちしております。

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