2022

2022-10-27
森村 誠「the pre-emptive multi-task」2022年10月27日(木)~12月11日(日)

森村 誠「the pre-emptive multi-task」
2022年10月27日(木)~12月11日(日)

前期:10/27(木)~11/20(日)
後期:11/26(土)~12/11(日) (※ 前後期で作品を入れ替えます)

開廊時間|12:00~19:00
休廊日|毎週月・火・水曜、11/24(木)~25(金)

会場|the three konohana

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このたびthe three konohanaでは、森村 誠(MORIMURA Makoto, b.1976)の個展を前後期に分けて開催いたします。

森村は、特定の情報が記された印刷物に、自らの手による行為を幾重にも積み重ねることによって作品化する作家と主に認識されています。これら大きく2つの要素の組み合わせを軸に、印刷物上の情報の用途やイメージから別の視点を促す作品を生み出すことで、私たちにその都度強い印象を与え続けてきました。また、彼の私的な体験や出来事を作品の着想に置くことで、私たち各々の日常や身近な物事へと導く求心力を有し、これまでに数多くの印象的な作品シリーズを制作・発表しています。

本展では、パソコンのCPUの機能を示す「pre-emptive multi-task(非協調的マルチタスク)」を比喩的なキーワードとして設定し、前期展の過去約20年間の作品と、後期展の新作シリーズの作品の双方に通底する、森村の作品制作・表現の傾向と今後の展開を探ることを狙いとします。

作品をシリーズ化していくための彼の思考方法には、材料と行為の選択や、私的な体験の抽出などに、作品へと発展させる彼なりの複数のフォーマットが垣間見られるように思います。それらの組み合わせの取捨選択や各々の要素の強弱がシリーズごとに設定・調整されることで、表現の多様性と一貫性が同時に担保されているのではという仮定において、彼の現在に至るまでの表現の全容を捉える機会になればと思います。

一方で、全ての作品シリーズを表層的に捉えると、時々彼の作品とは思えないようなイレギュラーな表現が現れています。その特徴が、後期展に発表する新シリーズ「PoSD」には明らかに見られることから、過去の作品の変遷を捉えながら最新作の発表を迎える、丁寧な鑑賞の過程を設けることが、もう一つの本展の狙いでもあります。

前期展では、2000年代半ばから昨年までに制作した作品約30点を公開し、後期展では、最新作「PoSD」シリーズの作品の発表を6点程度予定しています。森村の長年の制作活動の一貫性とその特異点がどこに見られるのか、多数の様々な作品と対峙して、みなさまと共に考える機会になれば幸いです。

《PoSD_001》2022 アクリル、キャンバス 18.0 x 14.0 x 3.5 cm【後期展出品予定作品】
《S.A.S.P : New York / Osaka 2012-07-23 to 10-09》2012-13 [部分、再構成]
ハガキ、切手、修正液、針、写真 サイズ可変【前期展出品予定作品】
《研究社 現代英和辞典[睡眠薬/笑い薬]》2005 英和辞典、瓶 【前期展出品予定作品】

 

2022-05-28
小松原 智史「ばける|きえる|うけいれる」2022年5月28日(土)~7月10日(日)

・小松原智史「ばける|きえる|うけいれる」 展示記録

小松原 智史「ばける|きえる|うけいれる」
2022年5月28日(土)~7月10日(日)

休廊日:毎週月~水曜

開廊時間:12:00~19:00
会場:the three konohana

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このたびthe three konohanaでは、弊廊では3年半ぶりとなる小松原 智史(KOMATSUBARA Satoshi, b.1989)の個展を開催いたします。

近年の小松原は、奈良や滋賀、スペインでの滞在制作・発表のプログラムに精力的に参加してきました。屋内外を問わずあらゆる空間や環境に、自らの表現を寄り添うことのできる作品発表の方法を探ると同時に、異なる制作の環境に身を置くことで、理想的な制作環境を見出すことにも努めてきました。

2019年の年末、小松原はスペインのカタルーニャ地方へ2度目の滞在制作のために渡航しました。新型コロナウイルスのまん延が直撃した時期と重なりましたが、異国の地で活動が制限された環境下で作品制作に専念しながら、現地のギャラリーで日本人作家2名を招聘したグループ展を自ら企画するなど、有意義な経験を10か月にわたる滞在期間に積み重ねました。そして帰国後は「MIND TRAIL-奥大和 心のなかの美術館」に2年連続で参加し、初めての野外での作品発表をおこない、さらに昨年からは国内の生活と制作の拠点を奈良県東吉野村に移し、生活の中心に制作活動が自然と成り立つ環境を整えながら日々の制作をおこなっています。

この間、小松原の描く画面や制作の方法にも大きな変化が現れています。画面上の無意味な状況を持続した、墨をベースとしたモノクロームな絵画としての表現を続ける一方で、これまで展示会場で継続的に画面を描き加えていたライブドローイングの手法は必須では無くなりました。彼の描きから意味のあるモチーフが生成され、それを打ち消すようにさらに新たなモチーフを加えて描くといった堂々巡りな制作過程も、新たな描きの展開によって影をひそめるようになります。また、これまで線描をベースにしていた画面構成は、太い筆や刷毛から筆を使わないものまで、画面への描き、着色のバリエーションを広げる志向へ転換しています。主体的な画面の操作の現れであったこれまでの細い線描の表現から、彼の外にある要素やその作用を積極的に作品に取り込もうとする姿勢の現れとして、これらの変化は近年の活動や制作環境から彼の中に自然と反映されたもののように思います。

本展は、多数の絵画作品の集合体としての展示空間を構築し、小松原のいま現在の「絵画/画面」への向き合い、関心事を捉えることを狙いとします。個々の絵画としての画面に集約され、断片化されていくような本展の空間は、自らの描きで空間を主体的に埋め尽くすことで直接的に彼のテーマを表現していた従来よりも、鑑賞者にその判断や解釈を委ねられる環境になることでしょう。そして、これまでの様々な発表形態を経て、絵画を起点とした作品制作に立ち戻ろうとしている小松原の視点を、みなさまと共有できる機会になれば幸いです。

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小松原 智史《コマノエ》(部分) 2021-22年【出品予定作品】
墨、ジェッソ、和紙、石膏、膠、樹脂、パネル

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ジローナ(スペイン)での滞在制作の様子(2020年7月)

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「MATERIAL INCIDENT」展示風景(DUAL GALLERY、ジローナ・スペイン、2020年)

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「MIND TRAIL-奥大和 心のなかの美術館」展示風景(上・2020年/下・2021年、共に奈良県曽爾村)

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個展「巣をたてる」展示風景(2018年、the three konohana)

 

2022-02-28
「Gallery Collection 2022」2022年3月5日(土)~27日(日)[*4月中は予約制]

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「Gallery Collection  2022」
2022年3月5日(土)~27日(日)(* 4月中は予約制)

出品作家:加賀城 健、加藤 巧、森村 誠

[定期オープン]
会期:2022年3月5日(土)~27日(日)
開廊時間:12時~19時(※3/18(金)は18時まで、3/20(日)は14時から)
休廊日:毎週月~木曜、3/25(金)

[予約制オープン]
会期:2022年4月中

※ 予約制オープン中にご来廊をご希望の方は、SNS(TwitterFacebookInstagram)のメッセージまたはメール(info(at)thethree.net)にて、ご希望の日時を明記の上、ご希望日の2日前までにご連絡ください。
※ 当方の都合により、ご希望の日時に添えない場合がございます。なにとぞご了承くださいませ。
※ なお、定期オープン中も休廊日および開廊時間外でもご覧いただける場合がございますので、お気軽にお問い合わせください。

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このたびthe three konohanaでは、3月5日(土)より「Gallery Collection 2022」を開催いたします。3月中は原則金曜~日曜に開廊し(一部休廊日があります)、4月中は予約制にてご覧いただけます。

昨年から今年にかけて弊廊の企画で個展を開催した加賀城 健、加藤 巧、森村 誠の3名の作品をご紹介いたします。当時の個展の出品作を中心に、未発表作やそれ以前の作品もあわせてご覧いただけます。
昨年から現在にかけてもコロナの影響などで、彼らの個展にどうしても足を運ぶことが叶わなかったという方も多くおられると思います。ぜひこの機会に、3名の作家の当時の発表の一端を一堂にお楽しみいただければ幸いです。

 

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加賀城 健《Transfer-dyeing (Sanctuary #3)》2022

レーヨン・ポリエステル混紡布、染料、木枠/糊防染、移し染 110.0 x 110.0 cm

 

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加藤 巧《Tanktop》 2021

顔料、漆喰、蜜蝋、乾性油、Jesmonite AC100、服、木材、アルミ材    58.5 x 43.0 cm

 

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森村 誠《a Book of OTW 3》 2021

地図、修正液、糸、布、紙、革 18.5 x 13.5 x 5.0 cm

 

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加賀城 健「Manipulation / Interchange」2022年1月6日(木)~2月13日(日)

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・加賀城 健「Manipulation / Interchange」前期展 展示記録

・加賀城 健「Manipulation / Interchange」後期展 展示記録

 

加賀城 健「Manipulation / Interchange」
2022年1月6日(木)~2月13日(日)

前期:1月6日(木)~16日(日)[※10日(月・祝)は開廊します]
後期:1月27日(木)~2月13日(日)

休廊日:毎週月~水曜、1/17~26(展示替えのため)
開廊時間:12:00~19:00
会場:the three konohana

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このたびthe three konohanaでは、弊廊では4年半ぶりとなる加賀城 健(KAGAJO Ken, b.1974)の個展を、前後期に分けて開催いたします。

前回2017年の弊廊での加賀城の個展「Physical / Flat」は、彼の20年来の制作活動の変遷を振り返ることを目的に、弊廊での2期に分けた過去作中心の展示と、アートフェア「ART OSAKA 2017」での新作中心での展示の3部構成でおこないました。染色と現代美術の領域と行き来しながら多岐に展開されてきた彼の表現を、「身体性(Physical)と「平面(Flat)」の視点から捉え直し、染色表現を起点としたアプローチが、当時の現代美術の表現動向やその論点にその都度結び付いていたことを示す機会となりました。

この個展の直後に、加賀城は金沢美術工芸大学の専任教員に着任し、活動の拠点を石川県に移して4年が経過しました。その間、染色の素材・技法の研究とそれに基づく作品制作・発表に一層励みながらも、後進の教育・指導にも勤しみ、新たな制作環境の下で、彼の思考には少しずつ変化が生じてきています。

作家としての自らの姿勢を後進に示そうとする中で、感覚的な制作手法を抑え、論理的にそれを選択する意識が高まったと加賀城は言います。彼がいま強く関心を寄せているのは、以前より彼の制作テーマの一つであった「他力」と呼ばれる領域を、より積極的に作品に取り込むことです。彼の作品を構成する主な素材である布や染料としての水、糊などの性質を、実験と観察を幾度と重ねて理解することは以前より大切にしていましたが、作品制作において自身が取り組む領域と、自然の現象に委ねる領域を、いかに理知的に定めていくかに思考を向けています。近年の作品は染色技法のレイヤーが複雑化し、表層的には制作のプロセスが捉えにくい視覚構成になっており、加賀城の積極的な手技による経験の再構築と研究意欲が随所に垣間見られます。

本展は、前期の2週間と後期の3週間それぞれに、最新作を中心に展示手法や作品の形状が異なる2種類の個展形式で構成します。石川に制作の拠点を移して4年、大阪の頃から変わらない加賀城の制作意欲と、加賀城が捉えている今後の表現の射程を、久しぶりの大阪、かつ現代美術の領域での発表の中で、みなさまと共に触れる機会になれば幸いです。

 

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加賀城 健 出品予定作品(部分)

 

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加賀城 健《Manipulation-Mentor》2021
綿布、染料/指による糊置、糊染  280×1000cm[撮影:佐久間秀樹]

 

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加賀城 健「Physical/ Flat」展示風景(2017年、the three konohana)[撮影:長谷川 朋也]

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