2014, EXHIBITIONS, PAST

Konohana’s Eye #4 小出 麻代 展「空のうえ 水のした 七色のはじまり」

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・小出 麻代 展「空のうえ 水のした 七色のはじまり」 展示風景

・小出 麻代 展に関する、掲載プレビュー・レビューのご紹介

 

 

Konohana’s Eye #4
小出 麻代 展「空のうえ 水のした 七色のはじまり」

2014年6月6日(金)~7月20日(日)

開廊時間:木曜~日曜 12:00~19:00
休廊日:毎週月曜~水曜
会場:the three konohana

オープニングパーティー:6月6日(金)18:00~21:00

* * *

このたびthe three konohanaでは、小出 麻代(KOIDE Mayo, b.1983)の個展を、Konohana’s Eyeシリーズの通算第4弾として開催いたします。

大学で版画を専攻していた小出は、当初は版画の技法とさまざまな日常品を取り入れた平面や立体の作品を制作していました。とりわけ日常にありふれた既製品への関心が強く、「もの」の固定概念に新たなエッセンスを加味するために、版画の技法を中心に手仕事の要素を既製品に織り込むことを意識した作品が多数見られました。日常のささやかな改変を、個々の完結した作品内で提示するスタイルが、彼女の作家活動の始点にありました。

近年から現在にかけては、小出の表現スタイルはインスタレーションが主軸となっていきます。一昨年の神戸アートビレッジセンター(KAVC)での2人展「1floor / TTYTT, -to tell you the truth,-」では、意識的に手仕事を蓄積させるアプローチに大きな変化が現れました。これまで主だった版画技法での素材へのアレンジがやや影をひそめ、物体を紐で結んだり通したりする単純な行為や、何も手を加えない既製品を空間に設置することが目立つようになりました。権威的な行為といえる美術表現と、日々の生活でなにげなくおこなわれる行為。これら両極の要素を隔てなく調和させていく一定の方向性と距離感が、彼女の中で見いだされた機会になりました。

さらに、昨年のLABORARORY(京都)での個展「すいこみ はきだし ひろがる」では、小出のインスタレーションは前年のKAVCでの展示と比べてより平坦になり、かつ客観性の強さが際立つものとなりました。空間の各所に点在する既製品の物体や従来から見られる版画技法が絡んだ作品的な物体を、ただ淡々と紐や紙テープや電気コードでつなげた空間に仕上げました。まるで、薄いオブラートのような私的な物語性が、空間全体を起伏なく覆っているかのような世界観が展開されました。軽やかかつ柔い素材感と個々の要素がつながれていく行為は、作品としての強固な独立性を拒否していながら、一方では物質という属性を総体的に強調しているようにも感じられました。概念や権威の前に、人の感覚に触れる「もの」の存在を彼女は強く意識します。「もの」があることによって得られる安心感や充実感は、現代の日常の生活においても多くの人々が無意識に享受するものです。そこに対極ともいえる彼女の版画技法などによる美術表現的な「もの」と「行為」がどのように作用するのか、ここ数年彼女が追い求め続けたテーマのように思います。

当展は、ここ数年の小出の表現テーマである、美術表現と日常の行為との関係性をさらに深化させ、弊廊のホワイトキューブと和室の2つの空間の特性を限りなく駆使したインスタレーションにて展開いたします。弊廊の大きな特徴でもある自然光が大きく影響する展示空間による作用が、客観的に提示される「もの」と「行為」との間に、無数の変化と要素の存在を示唆させる内容となります。

現代に生きる私たちは、多数の情報とものが氾濫した世界全体を把握することは不可能であり、無数の小さな世界に気づかないまま日々の生活を送っています。しかし、私たちの意識の外に散らばっている小さな世界は、想像と思考という行為によって誰もが易しくアプローチできるものです。それらに気づくことによって得られる日常の拡大とその充実感は、大きな世界の一義的な価値基準にとらわれない各自の小さなルールを獲得することへとつながります。私たちの日常と世界観を大きく左右するかもしれない何気ないものが何気ないところに存在している、そのような発見を小出がフラットに手を加えた空間から見つけ出していただければと思います。ぜひこの機会にご高覧賜りますよう、よろしくお願いいたします。

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《THE FEATURES OF THISLAND》 ミクストメディア(インスタレーション)  Artfunkl (マンチェスター・イギリス) 2013

 


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Posted on 2014-06-06 | Posted in 2014, EXHIBITIONS, PAST |

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