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「大阪・関西万博」開催期間中休廊のお知らせ

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平素より皆様には格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

the three konohanaは、現在開催中の「中村幹 影にそそぐ」展終了後、大阪・関西万博が開催される10月中旬までの約半年の間休廊いたします。
皆様にはしばらくご不便をおかけすることとなり申し訳ございません。半年後の活動再開をお楽しみにお待ちいただければ幸いです。
その間のお問い合わせは、通常通り電話とメール、またはSNSのメッセージにて承ります。

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長い休廊期間を設けるのは開廊以来二度目となりますが、今回は弊廊の位置する大阪市此花区内でまもなく開催される大阪・関西万博がその判断の主たる要因です。

主催者側は期間中に相当な規模の来場者を想定していますが、それに見合った交通網の整備は万全でないまま開催に向かおうとしています。近年のインバウンドの影響などから、近隣の交通網はすでに混雑が頻発しており、そこに万博の来場者が加わることを想像すると、さらに混雑度が高まる交通機関でご来廊いただくことをお客様に求めるのは大変心苦しく思います。このような状況下では期間中のお客様の減少も避けられず、展覧会のために作品を制作し発表する作家にも申し訳ない気持ちになることから、このような判断をしました。

また近年は、この地で長年育まれてきた民間のアートの動きと相容れない価値観や目的を持った、いくつかの新たなアートの動きが弊廊の周辺で現れていました。それらが大阪・関西万博の機運醸成という目的の下、公的に推奨するものとして扱われていく場に私自身が巻き込まれそうになった経験をしたことで、改めてアート・芸術は常に社会の大きな動きに左右されていく存在であること、そしてそうした流れに対しての自らの無力さも痛感しました。この地に10年以上ギャラリーを構える活動者の一人として、この地に根差した特殊なアートの動きに寄与してきた自負があるからこそ、近年の大阪・関西万博の開催が発端となった一連の出来事から、それへの強い違和感を表明するものでもあります。

弊廊がある大阪市此花区梅香・四貫島エリアは、昭和の下町の雰囲気が残る地域に、ゼロ年代後半から徐々に集った広くアートに関わる人々が小さな拠点を数多く立ち上げ、各々の活動や表現を主体的におこなっていくスタンスが、現在に至るまで脈々と受け継がれてきた、大阪はもとより国内でも極めて珍しい地域です。権威や流行、私利私欲に絡めとられることなく、各々の関心事に忠実な表現活動が尊重され続けてきたこの環境に支えられた一人として、これを機にこの先の自らの活動はもちろんのこと、この地で培われてきたアートの文脈とどう向き合うかをより一層真摯に考える時間にしたいと思います。

そしてこれからの休廊期間中、そして活動再開後も、この万博が今の私たちの芸術や文化にどのような作用をもたらすのかを確かめつつ、これから先のあらゆることについて、多くのみなさまと様々な意見交換や対話ができることを願います。

2025年4月10日  the three konohana 代表 山中 俊広


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Posted on 2025-04-10 | Posted in NEWS |

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