REVIEW

「ヴァリアブル・コスモス」はじまりました!

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異常なくらいに暑かった今年の夏もようやく一段落して、ttkの秋の展覧会が先週からスタートいたしました。

Facebookなどではちょっと別の話題でも盛り上がったりしておりましたが(笑)、加賀城さんの2年ぶりになる個展は開催前から注目度も高く、会期がスタートしてからもお越しいただいた方々からの評判の高さが、色んなところから回りまわって帰ってきております。

さて、今回の加賀城展の見どころを、できるだけネタばれにならないように、少しご紹介いたします。

ここ数年は現代美術へのアプローチを強めて、染色という工芸としての技法で作り出す「絵画性」の提示に重点を置いてきた加賀城さんですが、今回は原点回帰というべき「染色および工芸」そのものが持つアイデンティティについて、展示全体で丁寧に語ろうとしているように思います。

更に、染色としてのカテゴリーの存在をしっかりと作品を通じて表しつつ、現在の現代美術の領域で主題とされている複数の要素とも共通点や対比も、各所で提示されています。当展のテーマ通りに、「美術」と「工芸」を行き来することにおける問題定義が、とても冷静になされている印象の展示となっております。それを読み解くには、やはり「ミクロ・マクロ」双方の視点が必要です。個々の作品から見えるもの、インスタレーションとして相対的に見えるもの。また、日中の見え方と夕方の見え方でも、一つの作品が全く違う様相を見せてくれます。

この加賀城展は、とてもたくさんの要素が乱立していて、一見まとまりがないようにも感じることもあるかもしれません。しかし、きちんと一つ一つの作品を見ていただきながら、工芸や美術についての思いをめぐらせてください。そうすると、染色としてのアイデンティティにも、全体の計算された展示構成にも、一貫した「ヴァリアブル(可変的)」な「コスモス(宇宙/秩序)」が、必ず見えてくるはずです。

もちろん、今回の加賀城展も会期は1ヵ月半ございます。ぜひ何度もお越しいただいて、加賀城さんの「ヴァリアブル・コスモス」の真髄の奥深くへと入り込んでいただきたく思います。


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Posted on 2013-09-15 | Posted in REVIEW |

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