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2013-07-03
Konohana’s Eye #2 加賀城 健 展 「ヴァリアブル・コスモス|Variable Cosmos」 9月6日(金)~10月20日(日)

the three konohana、次回の展覧会のご案内です。

開廊後3本目の展覧会は、「Konohana’s Eye」の第2弾として、伝統的な染色の技法を駆使して、工芸と現代美術双方のフィールドで活動する加賀城 健(Ken Kagajo, b.1974)の個展「ヴァリアブル・コスモス|Variable Cosmos」を、9月6日(金)~10月20日(日)の会期にて開催いたします。

詳しくはこちら

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2013-06-29
「此花メヂア」お別れの日

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そういえば、このVOICEページにて、此花の町についてのお話をする機会がなかなか無かったのですが、明日に事実上の最後の日を迎える、「此花メヂア」について少しお話させていただきます。

すでにご存知の方も多いかと思いますが、今月をもちまして「此花メヂア」は閉鎖することとなりました。
ttkと同じ大通りに面していて、西九条駅から歩いてお越しの方は必ず前を通られていたと思います。伊吹展が開催されていた4月もメヂアでは展覧会が開催されていたので、中に入られた方もきっと多いかと思います。
最近は正面にわらしべ文庫の本棚が設置されたりして、メヂアの独特なファサードは、ttkにお越しいただいた多くのみなさんの印象にもきっと残っているかと思います。

私にとっての「此花メヂア」との初めて出会いは、初めて此花の地を訪れた2010年秋の「見っけ!このはな」でした。
その頃に此花で特殊なアートの動きをあるとの噂を聞いて伺ったのですが、メヂアの空間は実に衝撃的でした。

大きな地震が起きたらいつつぶれてもおかしくないくらいのオンボロさはもちろんのこと、複数の建物を強引につなげているためにメヂア内は完全に迷路状態。最初の印象として発した言葉が「まるで九龍城だ!」だったのは、今でもはっきりと記憶に残っています。
中に入れば入るほど方向感覚はどんどん麻痺させられ、出迎えてくれる多数の個性的な部屋がその都度私の脳内の物語を書き換えてくれる刺激と想像力にあふれた空間でした。そんなオンボロな建物にもかかわらず、床など各所はきれい掃除整理されていて、アヴァンギャルドなのに慎ましやかさも兼ね備えた環境として、私も一瞬でメヂアの魅力にはまってしまいました。私にとっての此花のイメージも、「此花メヂア」が原点でした。きっと多くの方々にとっても、「此花=メヂア」だったと思います。

ですが、近年はメヂアを利用するメンバーの入れ替えが目立ち、当初は共同アトリエとして機能していたメヂアも、アトリエとして使われる機会が少なくなるなど、メヂアの求心力が徐々に弱まっていたことは否めませんでした。代わりに、昨年からのOTONARIやモトタバコヤ、そしてこのttkもそうですが、此花の古い建物を活用するという点では同じであっても、そこに現代的なイメージの積極的な融合や、一定の明確な役割・目的を提示するスペースが続々と立ち上がり、明らかに此花のブランドイメージ(と呼んでもいいのでしょうか)は入れ代わってきております。

改めてこれまでを見直すと、此花はメヂア主導による狭義の「アート」が強かった町だったように思えます。独自性や個性を重んじる「アート」を看板に掲げて、良い意味での無秩序から新しい価値観が生み出される可能性を大いに提示して、いわゆる「オルタナティヴ」の代表格のようなイメージが発信されていたように感じます。一方で最近は、建築・デザイン・町という要素が台頭してきて、社会性を意識した秩序の下に各種活動が広まっているように思います。数年前に比べると、明らかに此花には多種多様な人々が集まってきています。受け皿がそれなりに大きく強固になってきた一方で、かつてのもっと荒々しくて自由奔放な此花のイメージは影を潜めたように見えます。ですが、常に変わらぬ価値観で継続していくことは、現代の社会システムの上ではほぼ不可能に近いです。今年から新参者として此花の町に加わった私としては、常にあらゆる価値観が流動的になっていく現代を生き抜くためには自然な選択だったのではと思います。秩序と無秩序、解体と構築、死と再生。常にそれらの間を行き来しながら、あらゆるものが成長し生き延びるのだと思います。私は明らかにメヂアの次の流れの側にいる人間ですので、この変化をプラス思考で受け入れるしかできません。

しかしながら、これまでの此花のアートを代表するのは間違いなく「此花メヂア」であり、此花のブランドイメージを各地に広めた一番の貢献者かつ象徴であることは疑いありません。
明日6月30日(日)17時より、【此花メヂア最後の日】としてオープンアトリエが開催されます。あの衝撃的な空間が見られるのも明日が最後です。お時間がありましたら、ぜひ最後のメヂアを見届けていただければと思います。

https://www.facebook.com/events/399048563537735/

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2013-06-27
KAMO 6th Meeting 【7/6(土)20:30〜】

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2013年7月6日(土)20時30分〜23時30分(20時開場) ※ 通常よりも30分遅れでのスタートになります
会場:OTONARI(大阪市此花区梅香1−15−18 梅香堂のお隣)
トークゲスト:片山 和彦さん(GALLERY wks. 代表)、木内 貴志さん(現代美術家)

前々回のアートフェア、前回のコマーシャルギャラリーに引き続いて、アーティストが展覧会をして作品を発表する「ギャラリー(画廊)」に関するシリーズ3部作の最終回、「貸しギャラリーについて」が今回のテーマです。
貸しギャラリーも単一のカテゴリーでは簡単にくくれないほどの、多種多様な作家との関わり方や運営スタイルがあります。その中でも独特なギャラリー運営および企画を積極的に進めておられるwks.の片山さんと、作家として発表活動やギャラリー巡りでたくさんのギャラリーを見られている木内さんに、分かりやすく貸しギャラリーの現場のお話をしていただきました。

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2013-06-18
「回路の折り方」ができるまで。そして、「道順」を見つけだすこと。

さて、先週よりttk2つ目の展覧会「SLASH/09 回路の折り方を しかし、あとで突然、わかる道順を−」が始まりました。今回の展覧会は、Director’s Eyeの第一弾として、東京で活躍目覚しい結城加代子さんをディレクターにお招きしての企画です。展覧会のタイトル、そして斬新なポスター型フライヤーからして、展覧会前からみなさんの興味を大変そそるものだったと思います。そして設営も、オープン5日前から作家のみなさんと共にttkのすぐご近所「モトタバコヤ」に順次宿泊して、まさにアーティスト・イン・レジデンスさながらの作業となりました。私にとっても自らのギャラリーの企画を他人にゆだねることだけにとどまらない、これら展覧会が出来上がるまでの過程、そして会期がスタートしてからも、今までに経験したことのない不思議な感覚に満ち溢れています。

設営の5日間で私が作業を見ていた中でとても興味深かったのが、結城さんと3人の作家さんとのコミュニケーションの作り方でした。結城さんがその都度作家さんに指示してリーダーシップの下で出来上がっていくというかたちではありませんでした。結城さんは、多くの時間を一人で奥の和室に入ってのパソコン作業に費やし、たまに作家さんたちが作業をしているメインスペースに入って、これも明確な指示をするというよりは作家さんに意見を聞いたり、ただコミュニケーションをとるということに徹していたように思いました。設営が始まるまで東京で幾度と重ねたミーティングでは、基本的にはお互いがコミュニケーションをとってお互いの考え方を共有できる関係性の構築に徹していたようです。結城さんの指示に一極集中するのではなく、作家同士がお互いを尊重しながら自らも主張する、そんな平等な関係性を準備段階で重要視して築いてきたようです。そのため、結城さんの合流は設営3日目からでしたが、それまでの2日間は作家さん3人が何度も相談しながら積極的に何種類も展示のバリエーションをシミュレーションして、それを踏まえて3日目からの結城さんとのディスカッションという流れで、少しずつ丁寧に展示を積み上げていきました。この綿密なコミュニケーションの跡は、特にホワイトキューブの展示構成に如実に現れています。

会期も前半戦なので、私からの展示内容についての解説はまだ控えたいと思います。特にこの展示は、まずギャラリーに入ったときの鑑賞の態度からがこの企画のポイントです。きっと大半の方が、混乱・困惑の印象から鑑賞が始まると思います。またどの作品もさらっと見ただけでは全体をつかむのは非常に難しく、まずミクロの視点で見てようやく一つの作品が見えてくるようなものです。それから展示空間全体を腑監視するマクロの視点から、それぞれの作品との関連性を見ていくのですが、共通点があったり時には分断するものがあったりと、まさに展覧会タイトルの通り「回路」が折られています。そして、見る側の理性と感性を駆使することで「あとでわかる道順」が少しずつ浮かび上がってくる、そんな仕掛けがふんだんに仕組まれている展覧会です。といっても、これもあくまでも鑑賞のバリエーションの一つに過ぎないと思います。現場にずっといる私だから言えますが、本当に一筋縄ではいかない複雑な「回路」です(笑)。

前回の伊吹展から何度もお伝えしていますが、ttkの展覧会会期は1ヵ月半。今回も1度のご来廊だけではなく、何度も足を運んでいただいて「回路」と「道順」を見つけていただきたい展覧会です。結城さんのテキストの最後に書かれています「私たちには平等に一定の時間が与えられていながら、体験や経験によって、感じることのできる時間は伸び縮みしてしまう」は、複数回ご覧いただかないとむしろ当展の趣旨は見えませんよという、ある意味結城さんの挑発的な(笑)コメントと解釈しております。

今回も1ヵ月半かけて、じっくりと展覧会の本質を読み取っていくことになりそうです。ぜひ私自身も、お越しいただいたみなさまと展示を前にして対話を重ねて、結城さん、小林さん、斎藤さん、藤田さんによる複雑な「回路」と「道順」を見つけ出していきたいと思っております。

ttk第2弾の展覧会もくれぐれもお見逃し無く!みなさまのお越しを心よりお待ちしております!!

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2013-06-18
ようこそ、ART OSAKA ! 〜ぐるりとギャラリー、大阪ツアー〜

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昨年に引き続き、国内有数のアートフェア「ART OSAKA」の関連イベントとして、「ようこそ、ART OSAKA ! 〜ぐるりとギャラリー、大阪ツアー〜」を、関西アートカレンダーとの共同企画により実施いたします。
詳しくは、アート大阪HP(http://www.artosaka.jp/)のイベントページをご覧ください。

■ 開催概要
日時:7月20日(土) 13:00〜18:30
企画・ナビゲーター:関西アートカレンダー、山中俊広(インディペンデント・キュレーター)

場所:大阪市内の現代美術ギャラリー・観光名所
参加料:交通費・飲食代は実費(ART OSAKA 入場チケット要)
ルートAは御舟かもめ乗船料2000円
ルートOはGalaxy Gallery入場料500円(ワンドリンク付き)

定員:先着18名[2ルート 各9名]
申込・問合せ:tourkac@gmail.com(関西アートカレンダー大阪ツアー事務局)

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2013-06-10
KAMO 5th Meeting 【6/22(土)20:00〜】

2013年6月22日(土)20時〜23時(19時半開場)
会場:OTONARI(大阪市此花区梅香1−15−18 梅香堂のお隣)
トークゲスト:宮下 和秀さん(TEZUKAYAMA GALLERY・アシスタントディレクター)

アーティストが展覧会をおこなう「ギャラリー」には、複数の形態があります。
その中でも「コマーシャル(企画)ギャラリー」について、アーティストとギャラリーの関係性やそもそものギャラリーの運営など、「コマーシャルギャラリー」のシステムについてお話いただきました。

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2013-06-07
Director’s Eye #1  結城 加代子 「SLASH / 09 −回路の折り方を しかし、あとで突然、わかる道順を−」

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・「SLASH/09 回路の折り方を しかし、あとで突然、わかる道順を」 展示風景

・「SLASH/09 回路の折り方を しかし、あとで突然、わかる道順を」を振り返って

・SLASH/09展に関する、掲載プレビュー・レビューのご紹介

 

 

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Director’s Eye #1  結城 加代子
「SLASH / 09 −回路の折り方を しかし、あとで突然、わかる道順を−」
2013年6月7日(金)〜7月14日(日)

☆ 7月22日(月)まで会期延長いたします。
7月15日(月)~17日(水) 休廊
18日(木) 14:00~19:00
19日(金) 12:00~18:00
20日(土) 休廊
21日(日) 12:00~19:00
22日(月) 13:00~18:00 [再延長]

開廊時間:毎週木曜〜日曜 12:00〜19:00
休廊日:毎週月曜〜水曜
会場:the three konohana

展覧会ディレクター:結城 加代子KAYOKOYUKI
出品作家:小林 礼佳斎藤 玲児藤田 道子
デザインワーク:CRAFTIVE

オープニングパーティー:6月7日(金)17時〜
トークショー:6月7日(金)18時〜19時

* * *

Director’s eyeの第1弾は、結城 加代子(YUKI Kayoko, b.1980)の企画によるグループ展「SLASH / 09 -回路の折り方を しかし、あとで突然、わかる道順を-」を開催いたします。

結城は2011年に「KAYOKOYUKI」を立ち上げ、特定のスペースを設けず、独自の切り口による展覧会企画や、自らの取り扱い作家の企画やマネージメントなどを、東京を中心に精力的に展開しています。

彼女の仕事の中で特筆すべきものは、毎回異なる出品作家をセレクトしたグループ展シリーズ「SLASH」です。作家と共に幾度とミーティングを重ねながら、お互いの意識やイメージを共有させていくことから、企画作りは始まります。各作家およびディレクターの異なる個性を尊重しながらも自然と一つの磁場へと引き寄せるかのように、各人の思考やプロセスが丁寧かつ平等に積み重ねられて、一体感がみなぎる展示を毎回実現してきました。ディレクターの立場の人間が、作家と誠実なコミュニケーションをとって展覧会を作るということの、理想的なモデルケースの一つであるように思います。

彼女独特のバランス感覚に満ちたコミュニケーション力でもって、作家の新たな一面を引き出す手腕と、首尾一貫した思考と実行力による彼女の企画は、各所で高く評価されています。当展は、結城による展覧会企画を、関西で初めて開催するものです。この「Director’s Eye」シリーズは、展覧会を企画する専任ディレクターの育成とその役割の必要性を強調するための企画です。近年作家主導による展覧会企画が各所で目立つ中で、専任のディレクターによる企画から現れるべき思考やスタンスにおける客観性、そして作家とディレクターを分業することによって、展示および個々の作家のクオリティの向上をもたらすことの実効性を、彼女の企画を通じて強く実感していただける機会になればと思います。

the three konohana  山中 俊広

 

【当展趣旨】

このたびKAYOKOYUKIは、大阪市此花区にオープンしたばかりのギャラリースペース、the three konohana にて、連続シリーズ『SLASH』を開催致します。SLASH』展は、複数人のアーティストをとりあげ、シリーズで展開していく企画展です。

この企画『SLASH』では、単に複数人のアーティストを並べて展示するだけではなく、事前に幾度となくミーティングを重ね、お互いのイメージや意識を深く理解するところから始めていきます。その上で、それでは作品を通して、自分たちは社会にいったい何を提示できるのか、何がおもしろいのか、何が可能であるのかを話し合い、展示プランを決めます。また、それはDMのデザインにも及び、それぞれの共通する目的からキーワードを上げ、アートディレクターのCRAFTIVEとともに一つの作品を生み出すように制作されています。その時代の流行や、1人のアーティスト、キュレーターの視点に委ねるのではなく、それぞれの立場で考えを出し合い、自らの手でまず価値をつくっていくことこそが必要であると考えています。個人で完結するのではなく、また勝ち負けではないところで、それぞれの思想が交わること、そこから生まれる想像力の多様性を信じて探っていきます。

第9回目となる『SLASH / 09 -回路の折り方を しかし、あとで突然、わかる道順を-』では、小林 礼佳(KOBAYASHI Ayaka,b.1988)、斎藤 玲児(SAITO Reiji, b.1987)、藤田 道子(FUJITA Michiko, b.1980)の3人展を開催します。

小林 礼佳は、2013年に武蔵野美術大学大学院を修了し、GALLERY b.TOKYO(東京)での個展や、若手ギャラリーの集合企画展『COVERED TOKYO: October, 2012』などで、物質と言葉を組み合わせた挑戦的な作品を発表し続けています。今年行われた修了制作展においては、25平米ほどの白い空間に”く” の字型の壁を配置し、自身で紡ぎだした言葉を貼付けていきました。鑑賞者は、その始まりと終わりの不明瞭な途切れ途切れの文章を探しながらさまよい、一瞬ホワイトアウトしかける視点を、ふいに現れる言葉により現実につなぎ止められるような、複雑な感覚に陥ります。

斎藤 玲児は、2010年に武蔵野美術大学を卒業し、〈#1〉~〈#14〉までの映像作品を制作しました。最近では2013年に山手83(神奈川)で個展を開催し、最新作となる〈#13〉、〈#14〉を発表しました。日常的に撮影し続けている写真と映像を素材に、iMovieを使ったアナログに近い手法で切り貼りしていきます。かつて記録された連続的な事象は、音も図像も感情も一度バラバラになり、編集される時の斎藤の身体を通して新たに再構成されます。普段の生活の中で出会った人物、風景、出来事を扱いながらそこから一定の距離を保ち、あくまで絵の具やキャンバスなどの物質を扱うようにPCは操作され、決定されます。

藤田道子は、2004年に東京造形大学版画コース研究生を修了し、現在同大学にて非常勤講師として従事しています。シルクスクリーンの技法を使い、紙だけでなく布や鏡などの素材にもプリントする他、様々な物質を扱いインスタレーションします。薄い透明色のインクを使って、細い線の重なりによって描く幾何学模様や、木材やガラスに糸やリボンを組み合わせた作品など、モノがそこに存在することで生まれる光の反射や影などの自然現象を生み出します。Gallery惺SATORU(東京)やRyumon coffee stand(東京)などで個展を開催しています。

今年発行されたガーディアン誌が、「私たちの時間の感じ方は感情によって変化する」と報じました。脳の時間の知覚には、それまで経験した記憶や年齢などに対する相対的な情報と、その瞬間に感じている怒りや恐怖、親しみや愛しさなどの感情に対する注意のプロセスも同時に作用しているという研究結果でした。私たちには平等に一定の時間が与えられていながら、体験や経験によって、感じることのできる時間は伸び縮みしてしまうのです。 3人のアーティスト達は、それぞれが全く異なる手法によって素材やメディアを扱い、日常に複雑に絡み合う現象の瞬間を作品に収めています。もし彼らの作品に潜んでいる回路を辿ることで、それまで感じ得なかった感情や感触を疑似体験できたなら、相対的に感じるのみでは行き当たらない、リアルタイムな経験による個々の新しい回路を発見できるのではないでしょうか。

当展ディレクター 結城 加代子(KAYOKOYUKI)

※『SLASH』とは…ファンが作った2次創作作品(ファン・フィクション)の中で、キャラクター同士が結びつくようなカップリングを示す際に間にスラッシュ記号( / )を入れたことから、それらを総称して「スラッシュもの」と呼ばれています。

 

2013-05-21
伊吹 拓 展「“ただなか”にいること」 展示記録

撮影日:2013年5月3日 撮影:長谷川 朋也

 

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2013-05-20
ttk開廊および伊吹拓展に関する、掲載プレビュー・レビューのご紹介

ttkの開廊と伊吹拓展につきまして、各所にて多くのプレビュー・レビューをご掲載いただきました。
主だったご掲載記事を以下にまとめてご紹介させていただきます。ttkおよび伊吹展をご紹介くださったみなさまに、心より御礼申し上げます。

・Lmaga.jp「小吹隆文が選ぶ2月のスペシャル展覧会」(プレビュー/2月19日)
http://lmaga.jp/article.php?id=2055

・CNTR「the three konohana オープン」(プレビュー/3月13日)
http://cntr.jp/news/the-three-konohana/

・ブログ「プラダーウィリー症候群(Prader-Willi Syndrome)の情報のメモ」(レビュー/3月16日)
http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20130316

・『美術手帖』4月号 ART NAVI(プレビュー/3月18日)

 

・『GALLERY 4月号』「NEW GALLERY特集(P.101)」(プレビュー/4月1日)

・ブログ「アートのある暮らし allier style」(レビュー/4月6日)
http://allierstyle.blog.fc2.com/blog-entry-33.html 

・ブログ「よしもと芸人 おかけんた・ブログ」(レビュー/5月1日)
http://nicevoice.laff.jp/blog/2013/05/post-64bb.html

・『美樂舎 会報第258号』「丹伸巨のコレクター日記」(レビュー/5月7日)
美樂舎HP:http://bigakusya.com/

 

2013-05-16
伊吹拓展を振り返って

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まず、この伊吹拓展はttk最初の展覧会であること。今後ttkが認知されていくにつれて、この展覧会によってギャラリーのイメージの半分は確実に形成されていく、ただの1回目では止まらない非常に重要なものでした。そして、伊吹さんにとっても、本格的に当展の出品作品を制作し始めた時期にギャラリー空間が出来上がっていないという(最終的には作品搬入の当日に引き渡し完了)、あくまでもギャラリー空間の完成予想のイメージのみで作品の構成を考えなければならなかった稀有な状況の中で完成した展覧会でした。

伊吹さんにとっては、こういう特殊な環境の中で、自分自身のこれまで積み重ねてきた表現から次への新たな展開を見せようと意気込んでいただき、それが明確な形となって当展の展示構成に現れたと、私自身強く自負しております。これまで感性による世界観を抽象絵画というフォーマットに描き続けてきた伊吹さんでしたが、今回は特にホワイトキューブのスペースに並んだ3点の横長の大作と、メインイメージになった100号スクエアの作品に、次の展開を示唆させる表現がはっきりと見られました。

それは明確な意識を持って画面上に刻まれた強い筆致と、画面に押し込められた数多くの要素たち。筆致の強弱、多様な色彩、かたち、更には表面上のマチエールと、これまでの伊吹さんの作品には無かった、膨大な情報量としてのディティールでもって画面上を埋め尽くすことを意図した作品群が提示されました。

これら当展のメインというべき4作品の特徴は、これまでの伊吹さんの作品に頻繁に見られた心象的とされるイメージや空間的表現ともいえる描写から、いかに絵画、画面というプリミティブな概念に向き合っていくかという、彼の強い意志が垣間見られるものでした。解釈によっては、これまでの鑑賞者が介入する余地の大きかった画面から、自分自身の世界へ没入していくような様もあり、時には鑑賞者をも突き放すかのような冷たさも感じられました。更に、彼の自発的なストロークや数々のディティールを過剰なほどに画面上に入れ込むことによって、逆にオールオーヴァーなイメージは影を潜めて、限られた画面上でいかに自らの多様な要素をコンポジションしていくかが、伊吹さんの今回の大きな目的であり成果だったように思えます。

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そのプロセスが概念的に伝わるという点で効果的だったものが、奥の和室にあったワーク・イン・プログレスの作品でした。6畳の和室に仰向けに置いた巨大なキャンバスに、最終的に会期中4回の重ね塗りをおこない、実際の作品が出来上がるプロセスを垣間見せるものでした。しかしながら、この試みは公開制作としてはおこなわず、お客さんが帰られた夜に加筆はおこなわれ、油の匂いが充満し表面が全く乾いていないみずみずしい画面が、翌日に突然現れるという状況を幾度と見せることになりました。行為としてのプロセスが決して具体的な様では見られない、あくまでも鑑賞者の想像の中で新しい画面が塗り重ねられることによって、鑑賞者の関心はより画面の方に集中し、油が乾いていく時間経過の中で細部が徐々に形成されていく感覚にも、絵画としての純粋なプロセスが強調されていくものとなりました。更にこの作品には、伊吹さんがこの1ヶ月半の会期の中で此花の町の雰囲気に触れ、その印象が自然に作品へと反映されていった、サイトスペシフィックな要素が予想以上に強かったこともここに書き加えておきます。

改めましてこの伊吹展では、伊吹さん自身の「絵画」そのものへの意識の強まりと共に、ttkとしましても、現代の絵画における本質というものに、私自身を含めて多くの方々への関心の誘導とその必要性を訴え、それらが明確に打ち出せた内容となったと思います。当展のテキストにも書かせていただきましたが、「あえて絵画そのものの概念や本質についてじっくりと考える機会になれば」の通りに、お越しいただいた方々からもそのような機会となったとの声を多数いただきました。ホワイトキューブと和室、二つの展示室の対比から、画面上に具体的なイメージが存在しない本来の「抽象絵画」としての存在をより一層強調させることで、純粋な絵画性を多くの方々に強く印象付けることができ、伊吹さんの従来からのイメージの転換にも、そしてttkのブランドイメージの創出にも意義のある展覧会であったと思います。

最後になりましたが、ttk最初の展覧会として、大変多くのみなさまにご来廊いただきましたこと、心より感謝申し上げます。そして、これからの伊吹さんの更なる展開にもぜひご期待ください。