山中 俊広

2015-02-23
飛鳥アートヴィレッジ 「彼方(かなた)のうつわ」@国営飛鳥歴史公園 高松塚周辺地区芝生広場【3/6(金)~15(日)】

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ttk山中がプログラム・コーディネーターを務める「飛鳥アートヴィレッジ」の成果発表展覧会を、3月6日(金)より奈良県明日香村の国営飛鳥歴史公園 高松塚周辺地区芝生広場にて開催いたします。
ぜひご高覧賜りますよう、よろしくお願いいたします。

* * *

■ 開催概要

飛鳥アートヴィレッジ 作品展 「彼方(かなた)のうつわ」

開催日時:
2015年3月6日(金)~15日(日) [会期中無休] 10時~17時

出品作家:
栗原 亜也子、東條 陽太、中尾 美園、藤井 龍、堀内 崇志

会場:
国営飛鳥歴史公園 高松塚周辺地区芝生広場
〒634-0144 奈良県高市郡明日香村平田
TEL 0744-54-2441
(近鉄吉野線 飛鳥駅より徒歩7分、無料駐車場有)
http://www.asuka-park.go.jp/

入場無料

プログラム・コーディネーター:山中 俊広(インディペンデント・キュレーター)

主催:明日香村
共催:国営飛鳥歴史公園、奈良県立万葉文化館、 (一財)明日香村地域振興公社
協力:岡村印刷工業株式会社

飛鳥アートヴィレッジ公式HP:
http://www.asukamura.jp/topics/art_village_2014

お問い合わせ先:
明日香村役場 企画政策課
〒634-0111 奈良県高市郡明日香村大字岡55
TEL 0744-54-2001(代表)

* * *

■ 当展趣旨

本展は、今年1月に実施した2014年度の「飛鳥アートヴィレッジ」のアーティスト・イン・レジデンス・プログラムに参加した5名の若手アーティストによる、成果発表としての展覧会です。今年で3年目を迎える本展は、初めての屋外での展示となります。5名のアーティストは、10日間のレジデンスプログラムの中で、いまに生きる飛鳥の人々との交流を重ね、現地の自然豊かな風景と古代の歴史遺産を目の当たりにしながら、いにしえから現代までの果てしなく長い飛鳥の時間軸の存在を自らの印象に強く刻みました。

今年の展示会場となる高松塚公園の芝生広場は、古墳石室壁画の発見・調査を機に造営されたいまの空間です。穏やかな田園風景と観光地としての整備が進む環境が併存するいまの飛鳥は、都として栄えていたかつての飛鳥とは別の表情を見せています。古代の飛鳥の人々が生きた痕跡の大半は、後世の人々の営みの堆積とともに徐々に地表の下へと埋もれていき、いま私たちの眼前にある飛鳥の風景は、約1500年の蓄積によって成立した「現代」の飛鳥であることを、5名のアーティストたちは10日間の滞在の中で共通して感じ取りました。

今年のアーティストたちは、作品制作の着想を「現代の飛鳥」に傾けています。二つの古墳に挟まれた谷間のような展示空間を「器(うつわ)」に見立てて、独自の視点と解釈で飛鳥を表現した作品を発表いたします。いまの飛鳥の風景から自らの想像力を駆使して、いかに古代の飛鳥の姿を思い描くことができるかが、あらためて現代に生きる私たちに試されているように思います。人類の文明の進化が、これまで把握不可能だった歴史の空白を埋める一方で、現代社会の思惑による整合性からも避けられません。そんな「現代の飛鳥」に向き合いながら、本展が過去の飛鳥のみならず未来の飛鳥の姿へも想像と思考を巡らせる機会になれば幸いです。

プログラム・コーディネーター 山中 俊広

 

2014-11-03
「奈良・町家の芸術祭 はならぁと 2014」11月7日(金)~24日(月)

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ttk山中が今年からアートディレクターを務める、「奈良・町家の芸術祭 はならぁと 2014」が11月7日(金)から、奈良県内の複数のエリアにて開催いたします。

山中が主に担当する現代アートによる展覧会企画「はならぁと こあ」は、郡山城下町、奈良きたまち、生駒宝山寺参道の3エリアにて、11月16日(日)までの10日間の会期にて開催いたします。

ttk最寄駅の西九条駅からは、JR・阪神共に電車一本直通で結ばれております。
特に関西以外からお越しのみなさまには、ttkにて開催中の小松原智史展とご一緒にお回りいただければ幸いです。

ぜひご来場、ご高覧賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

□ 開催概要

会期:
2014年11月7日(金)~24日(月・祝)
[はならぁと こあ] 2014年11月7日(金)〜16日(日)
[はならぁと ぷらす]2014年11月7日(金)〜24日(月・祝)

・郡山城下町、奈良きたまち、生駒宝山寺参道:11/7(金)~16(日)【はならぁと こあ 開催エリア】
・田原本町寺内町:11/8(土)~9(日)
・御所まち:11/9(日)
・五條新町:11/15(土)~16(日)
・今井町:11/15(土)~23(日)
・八木札の辻:11/20(木)~24(月・祝)

鑑賞について:
開場時間:10:00~17:00(※一部のぷらすの会場は異なる場合がございます)
「こあ」「ぷらす」、無料でご覧いただけます。(有料のワークショップやイベントを除く)

運営:
主催 奈良・町家の芸術祭HANARART実行委員会
共催 奈良県
実行委員長 山本 陽一(NPO法人大和社中 理事長)
アートディレクター 山中 俊広(インディペンデント・キュレーター)

公式HP:http://hanarart.jp/

* * *

アートディレクターが語る“はならぁと こあ”の見どころとは?

今年の「はならぁと こあ」は、郡山城下町、奈良きたまち、生駒宝山寺参道の奈良県北部3エリア4会場にて開催いたします。今年の4会場は大正から昭和初期にかけて建造され、それぞれ遊郭、住居、工場、旅館の用途で使われていた、地元の歴史と縁が深く結びついている建物です。これらの個性豊かな会場で、現代アートの領域で実績を重ね、奈良にゆかりのある4組5名のキュレーターが、総勢約30組のアーティストと共に、奈良の地域性の新たな視点やその糸口を、現代アートの手法と思考によって導いた展覧会の形式にて表現します。

奈良の個性や魅力をただ一方向的に提示することが、「はならぁと こあ」における現代アートの役割ではありません。いつの時代も、多くの人々の関与の下で過去と現在の価値観の拮抗を重ねることにより、常に私たちの歴史と文化は熟成されてきた経緯があります。その例に違わず、これまで奈良の土地が蓄積してきた数多くの歴史と文化も、その価値を変化させながら現代に受け継がれています。さらに私たちの生きる現代は、社会のシステムの多様化によって膨大な価値観が混在する時代です。「はならぁと こあ」は、これら多数の選択肢の存在を示唆させ、今昔へと思考を巡らせる橋渡しとなることで、今にふさわしい奈良の印象を見い出していただく機会になるはずと信じています。

今年の「はならぁと こあ」は会場間の連携を強化し、エリア間を周遊してじっくり楽しんでいただくための連携企画を複数用意しています。現代アートの展覧会と共に、会場周辺のまちなみも合わせて散策していただくことで、奈良の過去と現在、歴史と文化のみならず、日常の生活にも通底する新たな思考と気づきを持ち帰っていただければ幸いです。

奈良・町家の芸術祭 はならぁと  アートディレクター 山中 俊広

 

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2014-10-05
「飛鳥アートヴィレッジ」アーティスト募集期間延長のお知らせ ~10月24日(金)

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9月末で締め切りとしておりました「飛鳥アートヴィレッジ」の今年度のアーティスト公募につきまして、10月24日(金)まで募集を延長いたします。

今回の「飛鳥アートヴィレッジ」は、初めての屋外展示となりますので、改めて今年の「飛鳥アートヴィレッジ」のリニューアル内容や、おススメポイントをまとめました。アーティストのみなさまのご応募を引き続きお待ちしています!

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■募集期間
~10月24日(金)必着

■「飛鳥アートヴィレッジ」の概要、募集内容
明日香村役場HP(http://www.asukamura.jp/topics/art_village_2014/index.html)をご参照ください。

★今回のリニューアルポイント★
・作品展示が、屋内から屋外会場に。
高松塚古墳などで多くの方が訪れる歴史公園の広大な芝生広場をはじめ、主な観光ルートに面していますので、多くの観光客のみなさまにも見ていただける3会場となっています。また、規模の大きな作品展示ができる環境です。

・制作材料費の補助→上限7万円。作品展示の運搬費の補助→上限4万円支給。
屋外展示にあたり作業負担が大きくなることを想定し、前回より増額しています。

★飛鳥アートヴィレッジの魅力★
・日本最古の都でアート展示ができます。
・豊かな自然や古代遺構があふれる明日香の風土に触れ、発想や想像力を喚起。
・宿泊施設は、個室完備。各アーティストに個室用意。共同作業スペースとアーティスト同士の団欒スペースもあります。
・レジデンス期間滞在費(宿泊費および朝夕食費)も支援。
・地元の方々との交流体験。レジデンス期間中、村内家庭で民泊(1泊)!
・さまざまな交流プログラムを実施。
・レジデンス期間中だけでなく、作品展示についても村スタッフがサポート。村内の見どころ案内や日々の活動、展示計画へのアドバイスなど、役場スタッフとプログラム・コーディネーターが宿泊施設に常駐し、可能な範囲でサポートします。

★展示について★
・応募時の展示プランから多少の変更は可能です。実際に現地に入ってから気付く点もあるかと思いますので、内容の調整は、レジデンス期間中にプログラム・コーディネーターとご相談ください。
・搬入搬出作業には、地元スタッフのサポートが可能です。ただし、設営期間の4日間までに設置可能な計画をしてください。
・期間中、各会場には、スタッフが随時監視にまわります。

その他、内容に関する細かなご質問などがございましたら、明日香村役場企画政策課までお気軽にお問い合わせください。
TEL 0744-54-2001 FAX 0744-54-2440
E-Mail seisaku@tobutori-asuka.jp

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2014-09-10
KAMO 15th Meeting 【9/27(土)20:00〜 @ millibar】

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日時:2014年9月27日(土)20時~22時30分 (19時半開場)
会場:millibar(大阪市西区立売堀1-12-17)※トーク会場は2階になります。 http://artniks.jp/

トークゲスト:
山中 俊広(奈良・町家の芸術祭 はならぁと アートディレクター/KAMO運営メンバー)
参加費:入場時にワンドリンクご注文ください。追加のドリンクやお料理はキャッシュオン制です。

* * *

第15回KAMOは、KAMO運営メンバーの山中が、今年からアートディレクターに就任しました「奈良・町家の芸術祭 はならぁと」についてお話いたします。

今年の秋も、関西では各地で地域型・屋外型のアートイベントが多数開催されます。主要なところでは、兵庫では六甲ミーツアート、西宮船坂ビエンナーレ、 龍野アートプロジェクト。大阪ではおおさかカンヴァス。滋賀ではBIWAKOビエンナーレ。これら以外にもさまざまなアートイベントが各地で開催され、近 年のアートの現場では、「地域型アートプロジェクトブーム」と呼ばれるほどです。

中でも、奈良県では「奈良・町家の芸術祭 はならぁと」が、11月7日から奈良県内の8エリアにて開催されます。今年で4年目を迎え、関西の主要な地域 型アートプロジェクトとして認知されている「はならぁと」ですが、実施内容やシステムが昨年から随所に変わります。今年の「はならぁと」の見どころや特徴 とともに、近年の「地域型アートプロジェクト」の傾向や状況なども分析しながらお話させていただきます。

今回は、KAMO初めての会場「millibar/ミリバール」で開催いたします。地下鉄四つ橋線・本町駅23番出口、地下鉄長堀鶴見緑地線・西大橋駅2番出口より徒歩5分です。

参加費として、ワンドリンクをご注文ください。以後のドリンク追加や、食べもののご注文はキャッシュオン制でお楽しみいただけます。アルコールやお料理も多種取り揃えていただいておりますので、どしどしご注文いただき、熱いトークの一夜をお楽しみください。

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2014-08-12
「飛鳥アートヴィレッジ」 2014年度参加アーティスト募集のご案内

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奈良県明日香村主催によるアーティスト・イン・レジデンスプログラム「飛鳥アートヴィレッジ」、本年度の参加アーティストの募集がスタートいたしました。

ttk山中は、昨年度に引き続いてプログラム・コーディネーターとして、レジデンスと成果発表展示のサポートをさせていただきます。
本年度は作品展示/成果発表のスタイルが昨年度から様変わりし、村内各所での屋外展示となりました。
応募締切は9月30日(火)です。ぜひ多くのみなさまのご応募をお待ちしております。

* * *

■ 趣旨
日本という国号が誕生した地と伝えられる「飛鳥」。豊かな自然とともに古代の遺跡や寺院が点在する日本最古の都であり、私たち日本人の心の源流がここにあります。

『飛鳥アートヴィレッジ』は若手アーティストを対象に、明日香村のサポートのもとでおこなわれるアーティスト・イン・レジデンスのプログラムです。歴史と 自然に育まれた飛鳥の風土に触れ、さらに地元の人々との交流などを通じて、次代の「美」を開拓するとともに、飛鳥のアイデンティティを新たに読み解く作品 が生まれる機会となることを目的に、2012年度から始まり、今年度で3回目の開催となります。
「明日香まるごと博物館」の実現、さらには世界遺産の登録を目指す明日香村は、『飛鳥アートヴィレッジ』も、村として国内外に発信するブランド形成のための重要な一事業として位置づけております。

今年度はアーティスト・イン・レジデンスとしての内容の充実と、明日香村へのアプローチや村民との交流を深めるために、昨年度からのプログラムを大きく刷新いたしました。つきましては、今年度の『飛鳥アートヴィレッジ』の参加アーティストを広く公募いたします。

■ 事業内容
[アーティスト・イン・レジデンス]
日  程:2015年1月17日(土)~26日(月)<10日間>
滞在場所:飛鳥寺研修会館 修徳坊(明日香村飛鳥725-1)
数ある古代の遺構や豊かな自然に恵まれた飛鳥の風土に触れながら、自らの発想や想像力を喚起させて、制作へと進めていく機会とします。地元の方々との交流プログラムも随時開催します。
レジデンス期間中の滞在費(宿泊費および朝夕食費)と制作費の一部(上限7万円)および作品展示にかかる運搬費の一部(上限4万円)は主催者側が負担します。

[作品展示/成果発表]
日 程:2015年3月6日(金)~15日(日)<10日間>
会 場:国営飛鳥歴史公園・高松塚周辺地区芝生広場、奈良県立万葉文化館庭園、万葉展望台広場 [すべて屋外展示]
レジデンス期間に制作した作品およびレジデンスでの体験から着想を得た作品を、成果発表として展示します。展示プランの詳細は、レジデンス中にプログラム・コーディネーターや地元の方々とのコミュニケーションを重ねながら調整し決定します。
※会場の詳細につきましては、明日香村役場HPをご覧ください。

■ 募集対象者
・現代美術などの分野で活動する18歳以上40歳未満の方(応募時の満年齢・高校生は不可)
・アーティスト・イン・レジデンスの期間中、明日香村に滞在し、交流プログラムに参加できること。
・平面立体などのジャンルは不問。作品展示/成果発表では会場の特性上、屋外展示に耐えられる作品を発表できること。

■ 募集定員 5名程度

■ 応募方法
明日香村役場HPからダウンロードした応募用紙に必要事項を記入し、過去の活動をまとめたポートフォリオ1冊(20ページ以内)を同封して、郵送にてご応募ください。

■ 応募締切 2014年9月30日(火)消印有効

■ 選考および結果通知
提出書類をもとに、選考・決定し、結果は11月中旬に郵送にて通知いたします。

■ 応募書類の送付先/お問い合わせ先
〒634-0111 奈良県高市郡明日香村大字岡55番地
明日香村役場 企画政策課内 「飛鳥アートヴィレッジ」係
TEL:0744-54-2001 FAX:0744-54-2440
E-MAIL:info@asukamura.jp

—–
■ スペシャルアドバイザー/選考委員
絹谷 幸二(洋画家、大阪芸術大学教授・東京藝術大学名誉教授)
建畠  晢(京都市立芸術大学学長)
烏頭尾 精(日本画家、京都教育大学名誉教授)
脇田 宗孝(陶芸家、奈良教育大学名誉教授)

■ プログラム・コーディネーター
山中 俊広(インディペンデント・キュレーター)

主 催:明日香村
共 催:国営飛鳥歴史公園 奈良県立万葉文化館 (一財)明日香村地域振興公社
協 力:岡村印刷工業株式会社

—–
応募書類や応募要項など詳しくは、以下の明日香村HPをご覧ください。
http://asukamura.jp/topics/art_village_2014/index.html

 

2014-06-02
ttk山中 「奈良・町家の芸術祭 はならぁと 2014」アートディレクター就任のお知らせ

このたび、ttk代表の山中俊広が、インディペンデント・キュレーターの仕事として、2011年より毎年開催されている「奈良・町家の芸術祭 はならぁと」の2014年度のアートディレクターに就任いたしました。
就任のあいさつ文を以下のサイトにて掲載しております。

http://hanarart2012.blog.fc2.com/blog-entry-122.html

本年度の「はならぁと」開催期間は
「はならぁと こあ」 2014年11月7日(金)〜11月16日(日)
「はならぁと ぷらす」 2014年11月7日(金)〜11月24日(月・祝)
となっております。

開催エリア、「こあ」の会場および参加キュレーターは、後日オフィシャルHPなどで発表いたします。

[オフィシャルHP] http://hanarart.main.jp/index.html

 

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2014-05-21
飛鳥アートヴィレッジ2013 総括文 『「飛鳥」と「アート」の理想的な天秤の支点を探ること』

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ttk山中がプログラム・コーディネーターを務めました「飛鳥アートヴィレッジ2013」の成果集がこのたび完成いたしました。
こちらの成果集はttkにて閲覧可能ですので、ご希望の方はお気軽にお申し付けくださいませ。
成果集内にて執筆いたしました当プロジェクトの総括文を以下に掲載しております。ご一読いただければ幸いです。

* * *

「飛鳥」と「アート」の理想的な天秤の支点を探ること

 明日香村を舞台とし、10日間の短期アーティスト・イン・レジデンスと成果発表の展覧会で構成する「飛鳥アートヴィレッジ」。各地で近年多数展開されている「地域型アートプロジェクト」の多くと同様に、飛鳥地域にある様々な要素を表現に取り入れることを、主催者側がアーティストに求めることを前提としています。この手法によって地域に還元されるべきものは、現地にかかわる人々に、外部からやってきたアーティストがレジデンスでの活動と展覧会での作品を通じて、今まで表に現れにくかった地域の特徴や個性を提示することだと、私は考えています。

 今年度は、平面作品に限定した昨年度の応募基準を撤廃した結果、本来からコンセプチュアルな表現をおこなうインスタレーション(空間構成表現)のアーティストの応募が目立ちました。選抜された5名のアーティストが、10日にわたるレジデンスの間、飛鳥に真摯に向き合いながら飛鳥への解釈を深化させ、展覧会での作品を通じて提示した飛鳥は、昨年以上に飛鳥を抽象化させたアプローチとなりました。アーティストたちと共に考えた作品展のタイトル「宙の土 土の宙」に象徴されるように、彼らは飛鳥時代の史跡や特定の場所といった具体的な要素から離れ、壮大な事象である「空・宇宙」と「大地」に自らの制作テーマを設定しました。このアプローチには、飛鳥のイメージをより本質的かつ根源的なものにまで昇華させるという意図もありましたが、一方でどの地域にも共通しうる要素を提示したことには、いま現在の飛鳥への冷淡なまなざしも含んでいたこともあえて書き添えておきます。

 本来、現代美術とは、常々表に現れにくい事象や概念を拾い上げたり、現代の価値観に対しての問いかけや問題提起のきっかけを作り出すものでもあります。今年度の「飛鳥アートヴィレッジ」は、結果としてアーティスト側による自らの表現の堅持を前提に地域との理想的な関与を探り、現代美術の領域が提示するべきクオリティにはなりました。ただ、ここ飛鳥においてこのアプローチが理想的かどうかの答えはまだ見えません。「飛鳥」という本来から地域のブランド力が強いという現地の特性にあって、その反映の主軸をどこに取るのかによって、アーティストの「飛鳥」の表現は大きく変容します。飛鳥“時代”の「飛鳥」と、現代の明日香“村”としての「飛鳥」は、必ずしも一致しないという様相を意識すべきです。「国」と「地域」の両極に位置づけられる昔と今を、現代社会の構造を踏まえながら表裏一体の関係で真摯に向き合えば向き合うほど、そこには純化された相対論が「衰退」というキーワードを誘導してしまう恐れがあります。

 すでに歴史と観光資源の枠組みの中で価値が確立している飛鳥時代の諸要素よりも、ここにいま暮らしている人々やその生活および環境に焦点を当てることが、現在の「飛鳥アートヴィレッジ」の目的をより特化させることのできる方策ではないでしょうか。次年度のプログラム構築に際しては、地域側とアート側の交流にあらかじめ特化する手法も選択肢として検討すべきと思います。地域性をより反映させた作品をアーティスト側に求めるのであれば、現状の10日の短いレジデンス期間とアーティストへのサポート体制の調整はもちろんのこと、プログラム内での地域との交流をより推進する前段階として、当プロジェクトの村内での認知の浸透に力を注ぐべきと考えます。それによって、展覧会への来場者も村民の割合を増やす必要があると思います。その足掛かりとして、初めてプログラムとして実施した村民のお住まいに宿泊する「民泊体験」と、参加アーティストの一人の作品が実質的に地元の人々との共同制作になった今年度の2つの実績は、お互いの立場への歩み寄りと、昔と今の飛鳥の印象を両者が共有できた、今後に確実に活かされる成果となったと思います。

 地域側とアート側の思惑や主張の間に生じる、双方の価値観の差異は、このプロジェクト形態においては常に付きまとう課題です。両者の理想は常に一本の同じ軸の両極にあり、そのちょうど真ん中でバランスを取る選択は、現実的に不可能です。さらに、昔と今の「飛鳥」の価値のバランスも同様です。両者の支点の位置をどこに定めるかを、主催者である地域側が明確に提示することを期待します。その設定があるからこそ、アーティストのクオリティや、「飛鳥アートヴィレッジ」の果たすべき成果が明確になると思われます。2年目の実績を積み重ね、「飛鳥アートヴィレッジ」独自の天秤を明確に調整すべき段階にあることは確かです。

山中 俊広(2013年度 プログラム・コーディネーター/インディペンデント・キュレーター)

 

2014-03-11
飛鳥アートヴィレッジ 「宙の土 土の宙 -そらのつち つちのそら-」@奈良県立万葉文化館【3/11(火)~22(土)】

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ttk山中がプログラム・コーディネーターを務める「飛鳥アートヴィレッジ2013」の成果発表展覧会を、3月11日(火)より奈良県明日香村の奈良県立万葉文化館にて開催いたします。
ぜひご高覧賜りますよう、よろしくお願いいたします。

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■ 開催概要

展覧会タイトル:
飛鳥アートヴィレッジ 作品展
「宙の土 土の宙 -そらのつち つちのそら-」

開催日時:
2014年3月11日(火)~22日(土) [3月17日(月)休館]
10時~17時30分(入館は17時まで)

出品作家:
笠間 弥路、下野 友嗣、土方 大、野田 万里子、磐井 賢志

会場:
奈良県立万葉文化館 1階企画展示室
〒634-0103 奈良県高市郡明日香村飛鳥10
TEL 0744-54-1850 FAX 0744-54-1852
http://manyo.jp/

入場無料

プログラム・コーディネーター:山中 俊広(インディペンデント・キュレーター)

主催:明日香村
共催:奈良県立万葉文化館、(財)明日香村地域振興公社
協力:岡村印刷工業株式会社

飛鳥アートヴィレッジ公式HP:
http://www.asukamura.jp/topics/art_village_2013

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■ 当展趣旨

本展は、本年1月に実施した「飛鳥アートヴィレッジ」の2013年度のアーティスト・イン・レジデンス・プログラムに参加した5名の若手アーティストによる、成果発表としての展覧会です。

ここ飛鳥に滞在した5名は、10日間の共同生活を通じて、飛鳥と美術についてのお互いの世界観を昼夜語り合い深めていきました。いまの飛鳥に生きる人々と触れ合い、現地の自然や風景を目の当たりにしながら、いにしえの飛鳥の人々が生きた当時に思いを馳せ、果てしなく長い時間軸の存在を自らの印象に強く刻みました。

古来の飛鳥の文明に始まり、現代に至る人々の生活のあらゆる礎を育んできた、大地としての「土」。そして、大地に根づく飛鳥の人々を頭上から見守ってきた太陽、星、月、雲を擁し、異文化や文明との新たな邂逅(かいこう)へと導く豊潤な想像力を人々に供してきた「宙(そら)」。昔も今も、飛鳥に暮らす人々の心のよりどころとなってきたであろう壮大かつ本質的な2つの要素に、彼ら5名のアーティストは特に強く惹かれ、各自の作品の着想となりました。

ここ飛鳥のアイデンティティを醸成させてきた根源的な要素を、美術表現という手段で浮かび上がらせ、地元飛鳥の人々と全国各地の飛鳥を愛する人々へその気づきを提示することが本展の目的です。5名のアーティストの作品を通じて、飛鳥の豊かな風土と文化が、古来より人々に深い想像力と思考力を喚起させ続けてきたことを実感する機会になれば幸いです。

プログラム・コーディネーター 山中 俊広

* * *

■ 関連イベント
トークショー「三瀬夏之介と若き表現者たち-日本の起源で美を拓く-」
日時:3月11日(火) 13:30~15:00
会場:万葉文化館展望ロビー(先着150人、参加無料)

トークゲスト:
三瀬夏之介
谷澤紗和子、川本陸洋(昨年度 飛鳥アートヴィレッジ 参加アーティスト)
笠間弥路、磐井賢志(本年度 飛鳥アートヴィレッジ 参加アーティスト)

司会:
山中俊広(本年度 飛鳥アートヴィレッジ プログラムコーディネーター)

■ 同時開催企画
三瀬夏之介 風土の記 -かぜつちのき-
2014年3月9日(日)~5月11日(日)
会場:奈良県立万葉文化館 1階 日本画展示室
入館料:一般600円、大学・高校生500円、小・中学生300円

 

2014-01-20
「飛鳥アートヴィレッジ2013」レジデンススタートしました!

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ttkの「まよわないために」展はただいま中断中ですが、その間奈良県の明日香村に来ております。

明日香村を舞台にレジデンスと作品発表がセットとなっている「飛鳥アートヴィレッジ2013」。まずは前半のプログラムとして10日間のアーティスト・イン・レジデンスが昨日から始まっております。その間、プログラム・コーディネーターを務める私山中も5名の作家と一緒に飛鳥寺研修会館に宿泊します。いわゆる合宿生活です(笑)。

5名の作家はそれぞれ一人くらいは過去に面識のある人がいたということもあり、初日から思った以上に作家同士のコミュニケーションがうまく取れて、私もAIRに初めて関わる不安の一つが早くも解消されました。

昨日は、早速全員で3月の展示会場となる万葉文化館の展示室を見に行きましたが、改めて今回の展示はかなりの難関になりそうだなと実感でした。私にとっては天井が高く 広さもある珍しい展示空間のみならず、5作家のうち4人が基本的にインスタレーションの作家で、かつ制作の傾向としても思考に重きを置く作家が多いので、この10日間の飛鳥生活の中で制作プランが流動的になる可能性も高いです。恐らく3月11日からの万葉文化館での成果展示スタートギリギリまで、内容を詰めていくことになるのかなと思います。

それらを一つの展示にまとめ上げるのが、今回の私の最大ミッションだと思っています。まずは、一人一人の作品テーマをみんならしいものに近づけるためにきちんと誘導していくことからはじめていきます。私が常々展覧会の企画作りで考えることは、「ミクロ」と「マクロ」の視点です。それが、グループ展の場合は個々の作家の表現という意味での「ミクロ」、一つの展覧会の空間としての「マクロ」。これらをきちんと両立させてこそ、良質の展示となりうるものであると考えます。そのためには、これから連日合宿らしく夜の飲みニケーションが必須の恐れもありますが(笑)。

それにしても、飛鳥の朝晩はビックリするほど寒いです。体調管理にも十分気をつけながら、5人の作家が10日間のレジデンスを有意義に終われるよう、まず28日までのサポートをしっかり頑張ります!

飛鳥アートヴィレッジHP→http://www.asukamura.jp/topics/art_village_2013/
Facebookページ→https://www.facebook.com/pages/%E9%A3%9B%E9%B3%A5%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%B8/233844390077999

 

2013-11-08
「ギャラリストのまなざし」@なんばパークス【11/29(金)〜12/8(日)】

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このたび大阪芸術大学の主催による展覧会「ギャラリストのまなざし」を、なんばパークス7Fのパークスホールにて開催いたします。

ttk山中は、展覧会コーディネーターとして本展にかかわっております。関西で活動する大阪芸術大学出身の若手ギャラリスト6名が計10名の作家を紹介する企画です。ぜひご高覧くださいませ。

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■ 開催概要
タイトル:
「ギャラリストのまなざし」 - Management for Artists –
大阪芸術大学グループ 美の冒険者たち なんぱパークスアートプログラム vol.10

開催日時:
2013年11月29日(金)~ 12月8日(日)会期中無休 11時~20時(最終日のみ17 時まで)

会場:なんばパークス 7F パークスホール
(〒556-0011 大阪市浪速区難波中2丁目10-70) 入場無料

参加ギャラリスト[ 所属ギャラリー] / 出品作家:
飯野 正紀 [Links(大阪)] / 豊島 舞、田口 美早紀
野元 大意 [Kobe 819 Gallery(兵庫)] / 山下 智史、島田 洋平
内田 千恵 [TEZUKAYAMA GALLERY(大阪)] / ノモト ヒロヒト
小谷 香織 [DMOARTS(大阪)] / 北 直人、鍛治本 武志
玉置 慎輔 [The Third Gallery Aya(大阪)] / 三田村 陽、多田 ユウコ
津嘉山 裕美 [Gallery OUT of PLACE(奈良)] / 大城 真

総合ディレクター:
谷 悟(大阪芸術大学 芸術計画学科 准教授)

展覧会コーディネーター:
山中 俊広(インディペンデント・キュレーター/ the three konohana 代表)

協賛:南海電気鉄道株式会社  会場協力:なんばパークス
主催:大阪芸術大学グループ  主管:大阪芸術大学 芸術計画学科

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□ 関連イベント (※ すべてパークスホール内で開催いたします。)
・トークショー「ギャラリー運営の中でのアートマネージメント」
日時:12月1日(日) 14時~ 15時30分
出演:飯野 正紀 [Links]、野元 大意 [Kobe 819 Gallery]、山中 俊広[ 本展コーディネーター]

・トークショー「ギャラリーの現場で学ぶアートマネージメント」
日時:12月7日(土) 15時~ 16時30分
出演:内田 千恵 [TEZUKAYAMA GALLERY]、小谷 香織 [DMOARTS]、玉置 慎輔 [The Third Gallery Aya]、津嘉山 裕美 [Gallery OUT of PLACE]、山中 俊広[ 本展コーディネーター]

※ 各トークショー終了後、ギャラリストによる作品解説をおこないます。

ワークショップ「小さな幸せ“カールもどき”をつくろう!」
日時:12月7日(土) 16時~19時、8日(日)13時~16時
出演:田口 美早紀[ 出品作家]
企画運営:飯野 正紀[Links]、大阪芸術大学なんばパークスプロジェクトチーム

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■ 本展趣旨

近年、行政や企業などがスポンサーとなったアートイベントが数多く催され、「アート」が一般の人々にも徐々に身近な存在になってきています。こうした現場では、作品を制作・発表する作家にスポットライトが浴びるのは当然の話ですが、作家のサポートやイベントの細部を取り仕切る裏方的役割も欠かせない存在です。作家として活動する人々や作家を志す人々が、美術系大学を中心に常に多数輩出される一方で、アートの現場の裏方としての「アートマネージメント」に携わる人材の割合が少ないのが国内の現状です。海外に比べて、日本のアートの普及が弱いとされる大きな要因の一つであると考えます。

本展では、本学出身の20代および30代の6名の若い「ギャラリスト」たちが、各々の現場でサポートしている作家や今後の成長に注目する作家を、各々が紹介する展覧会です。「ギャラリスト」とは、画廊・ギャラリーを運営するだけではなく、作家の評価を高めるために様々な営業・広報活動や細やかな作家へのサポートをおこなうマネージャー的な動きをする立場の人間を指します。いわば才能を秘めた作家を発掘して磨き上げる、アートの領域の基盤を担う存在でもあります。近年のアートシーンや市場の複雑化によって、作家は制作に集中し、ギャラリストは作家周辺のマネージメントをおこなうという分業的な構図が主流となりつつあります。

これまでに相応の経験を積んで自らのギャラリーを運営しているギャラリストと、現在ギャラリーに勤務してノウハウを学び、将来的に独立や新たなアートマネージメントのスタイルを模索しているアシスタント職のギャラリストで、本展は構成しています。ギャラリストのアートに対する考え方も作家と同じく多種多様で、ギャラリスト自身も作家のマネージメントを通じて自らのメッセージを発信していると言えます。作家とギャラリストの協働がまず土台にあることを念頭に入れて本展をご覧いただくと、作家と作品の一方向のみに留まらないアートへの解釈が広がっていくことでしょう。

6名のギャラリストが本展で提示する様々なアプローチを通じて、アートをマネージメントしていくことの意義や、彼らのような職種が日本のアートシーンに欠かせない存在であることを垣間見ていただく機会になれば幸いです。

「ギャラリストのまなざし」展 コーディネーター 山中 俊広(インディペンデント・キュレーター/ the three konohana 代表)

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