REVIEW

「ARRAY」はじまりました!

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加藤巧さんの関西初の個展となる本展では、加藤さんの本来の制作コンセプトをストレートに押し出した内容になっています。絵画における「描くこと」の本質や前提となる事柄を浮かび上がらせることを狙いにしています。

一般的に「絵画」における「描く」ということを考えると、絵の具と筆を使って、視覚や思考の中でとらえたかたちや色を画面に描写するイメージが思い浮かぶと思います。加藤さんはそれら作品としての認識が容易な要素よりも、その前段階としての要素やプロセスを露呈させるために、あえて中世に成立した卵テンペラの技法を選択して絵画を作り出しています。

加藤さんの作品は、ラフなドローイングのような単純な筆の動きで描かれているように見えますが、実際には細い筆を使ってまるで細密画のように制作しています。一見シンプルな絵画の形状ながらも、論理的に制作されている「コンセプチュアル」な作品です。しかし一方では、身体感覚や直感に則ったプロセスもあって、論理と感覚の双方を行き来することで加藤さんの意図が見えて来るものです。さらに、加藤さんの本展の作品は比較的小さめのものが大半で、個々の作品を近距離で細かく観察すると、一般的な絵画の前提との矛盾に確実に突き当たるようになっています。そこから、「絵画」のそもそもの前提を起点につながっていく色々な要素に思考を巡らせていただければと思います。また独特な作品配置となっている展示空間も、展覧会タイトルの「ARRAY」をヒントに読み取っていただくことで、視点がさらに広がっていくことと思います。

本展では、7月10日(日)に国立国際美術館・研究員の福元崇志さんをお迎えして、加藤さんとのトークセッションを開催いたします。絵画論や造形論といった作家の表現の基盤から、歴史的事象と参照しながら深く語り合う内容にしたいと考えています。Konohana’s Eyeシリーズでは初のトークイベントとなりますので、一般的なギャラリーのトークショーとは一線を画した濃密なものにできればと思います。

また本会期中の来週末7月1日からは、ART OSAKAがJR大阪駅前のホテルグランヴィア大阪にて開催いたします。それに合わせて大阪にお越しになられる関西外の方々には、ぜひこの機会に本展もご高覧いただければ幸いです。


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Posted on 2016-06-22 | Posted in REVIEW |

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