お知らせ

2013-10-03
KAMO 8th Meeting 【10/26(土)20:00〜】

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2013年10月26日(土)20時〜23時(19時半開場)
会場:OTONARI(大阪市此花区梅香1−15−18 梅香堂のお隣)
トークゲスト:梅田唯史さん(beyer)、角谷慶さん(iTohen

最近、自らの専門職を飛び越えて、イベント企画や文化普及やコミュニティー形成など多種多様な活動をされているデザイナー関係の方が多く、各分野で注目を集めています。

今回お招きするbeyer(ばいえる)の梅田さんとiTohen(いとへん)の角谷さんは、グラフィックデザイナーとしても各所で活躍されながら、自らのデザイン事務所にてギャラリーを運営しています。さらに、関西の約10軒のギャラリーによる協同展覧会「ONSA(おんさ)」を毎年開催するなど、人同士および地域間のゆるやかなつながりを生み出す活動を、草の根的に進めています。

デザイナー以外の活動に関わっていることについての狙いや現状について、お二人にお話いただきました。

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2013-10-03
KAMOが、森美術館「六本木クロッシング2013」関連プログラム内で紹介されています。

現在、森美術館で開催中の「六本木クロッシング2013」の関連プログラム「ディスカーシブ・プラットホーム」にて、「活動の動機や目的に共感した、他にはない魅力ある活動を展開するグループ」29件の中に、私たちのKAMOが選出されました!

http://www.mori.art.museum/contents/roppongix2013/introduction/index.html
(ページの一番下の方に載っております)

この「ディスカーシブ・プラットホーム」での選出、ややわかりにくいかもしれませんが、全国各地で現代アートおよびその周辺について、独自性の強い議論や教育プログラムを継続しておこなっているというグループを、森美術館のプロジェクトチームが調査して、国内から選抜するというものでした。今後は当展のカタログにも名前が掲載される予定です。

始まってまだ1年にも満たないKAMOが、こんな表舞台で選出されたのは、これまでの7回のKAMOにご協力くださったゲストのみなさま、会場の準備などでお手伝いくださった此花のみなさま、そして毎回OTONARIが満席になるほど各地から集まってくださった参加者のみなさまのおかげです。心より御礼申し上げます。

これからも、みなさまのご期待に沿った、意義のある話題と議論と交流を提供していきたいと思います。今後のKAMOもご愛顧のほどどうぞよろしくお願いいたします!

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2013-09-25
「SLASH/09 回路の折り方を しかし、あとで突然、わかる道順を」東京巡回展開催

ttkにて6月7月に開催いたしました「SLASH/09 回路の折り方を しかし、あとで突然、わかる道順を」が、東京にて巡回開催いたします。
ttkの展示を、新作も交えて再構成する内容となっております。ttkでの展示をお見逃しになられた方は、ぜひこの機会にご高覧くださいませ。

会期:2013年10月2日(水)ー10月10日(木)12:00-19:00
オープニングレセプション:10月2日(水)18:00-20:00

会場:実家JIKKA
101-0021 東京都千代田区外神田3-6-14 深野ビル1F
https://www.facebook.com/SpaceJikka

デザインワーク:CRAFTIVE

企画:KAYOKOYUKI http://www.kayokoyuki.com/ja/

 

2013-09-15
「ヴァリアブル・コスモス」はじまりました!

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異常なくらいに暑かった今年の夏もようやく一段落して、ttkの秋の展覧会が先週からスタートいたしました。

Facebookなどではちょっと別の話題でも盛り上がったりしておりましたが(笑)、加賀城さんの2年ぶりになる個展は開催前から注目度も高く、会期がスタートしてからもお越しいただいた方々からの評判の高さが、色んなところから回りまわって帰ってきております。

さて、今回の加賀城展の見どころを、できるだけネタばれにならないように、少しご紹介いたします。

ここ数年は現代美術へのアプローチを強めて、染色という工芸としての技法で作り出す「絵画性」の提示に重点を置いてきた加賀城さんですが、今回は原点回帰というべき「染色および工芸」そのものが持つアイデンティティについて、展示全体で丁寧に語ろうとしているように思います。

更に、染色としてのカテゴリーの存在をしっかりと作品を通じて表しつつ、現在の現代美術の領域で主題とされている複数の要素とも共通点や対比も、各所で提示されています。当展のテーマ通りに、「美術」と「工芸」を行き来することにおける問題定義が、とても冷静になされている印象の展示となっております。それを読み解くには、やはり「ミクロ・マクロ」双方の視点が必要です。個々の作品から見えるもの、インスタレーションとして相対的に見えるもの。また、日中の見え方と夕方の見え方でも、一つの作品が全く違う様相を見せてくれます。

この加賀城展は、とてもたくさんの要素が乱立していて、一見まとまりがないようにも感じることもあるかもしれません。しかし、きちんと一つ一つの作品を見ていただきながら、工芸や美術についての思いをめぐらせてください。そうすると、染色としてのアイデンティティにも、全体の計算された展示構成にも、一貫した「ヴァリアブル(可変的)」な「コスモス(宇宙/秩序)」が、必ず見えてくるはずです。

もちろん、今回の加賀城展も会期は1ヵ月半ございます。ぜひ何度もお越しいただいて、加賀城さんの「ヴァリアブル・コスモス」の真髄の奥深くへと入り込んでいただきたく思います。

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2013-09-13
「このはなの日 2013」、加賀城健ワークショップ開催 10月12日(土)~13日(日)

10月12日(土)と13日(日)の2日間、「このはなの日2013」が、ttkがある大阪市此花区梅香・四貫島エリアにて開催されます。

当イベントは、梅香・四貫島エリアで暮らす地元の人と、新しくこのエリアに訪れる人たちが自然に触れ合うことを目的に、当エリアの独特な個性をあらゆる角度から体感できる各種ツアーや、アトリエやギャラリー、お店も含めた様々なスペースを公開・紹介し、それぞれで自主的に多くの関連イベントが催されます。

http://konohananohi.tumblr.com/

 

ttkでは、個展を開催中の加賀城さんによるワークショップを、この2日間にttk左隣の合同ビル前のスペースにて開催いたします。

「このはなの日」のロゴがプリントされたハンカチに、ユニークな絞り染めの方法から一つを選んで参加者自らで染めてもらい、自分だけのオリジナルハンカチを持ち帰ることのできるワークショップです。子どもも大人も簡単に楽しめますので、ぜひお気軽にご参加ください!

 

加賀城 健 ワークショップ 「このはなの日」 カラフルハンカチをつくろう!!

□ 開催日時:10 月12 日( 土)、13 日(日) 13 時~ 17 時(※ 荒天時中止)
□ 会場:合同ビル玄関前広場(the three konohana の左隣)

□ 定員:1 日50 名まで(予約不要、定員になり次第終了)
□ 参加費用:ハンカチ1 枚 500 円(当日お持ち帰りいただけます)

■ 協賛:株式会社 田中直染料店

 

2013-09-09
Gallerist’s Eye #1 岡本 啓 展「Visible ≡ Invisible」 11月8日(金)~12月23日(月・祝)

the three konohana、次回の展覧会のご案内です。

開廊1年目最後の展覧会は、独特の手法で絵画的な写真作品を主に制作する、岡本 啓(Akira Okamoto, b.1981)の個展「Visible ≡ Invisible」を、11月8日(金)~12月23日(月・祝)の会期にて開催いたします。

当展は「Gallerist’s Eye」のこけら落としとして、岡本が所属するYoshiaki Inoue Gallery(大阪)の協力で開催いたします。

【詳しくはこちら】

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2013-09-06
Konohana’s Eye #2 加賀城 健 展「ヴァリアブル・コスモス|Variable Cosmos」

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・加賀城 健 展を振り返って

・加賀城 健 展「ヴァリアブル・コスモス|Variable Cosmos」 展示風景

・加賀城 健 展に関する、掲載プレビュー・レビューのご紹介

 

Konohana’s Eye #2
加賀城 健 展「ヴァリアブル・コスモス|Variable Cosmos」
2013年9月6日(金)~10月20日(日)

開廊時間:木~日曜 12:00~19:00
休廊日:毎週月~水曜
会場:the three konohana

オープニングパーティー:9月6日(金)17時~21時

 

★ 加賀城 健 ワークショップ 「このはなの日」 カラフルハンカチをつくろう!!

the three konohana にて個展を開催中の加賀城健さんによる染色のワークショップを、10 月12 日( 土)、13 日( 日) に開催する「このはなの日 2013」にあわせて開催いたします。
加賀城さんの作品は、染料で意図しない偶然的な鮮やかな色やかたちを布の上に染めたものです。
「このはなの日」のロゴがプリントされたハンカチに、ユニークな絞り染めの方法から一つを選んで参加者自らで染めてもらい、自分だけのオリジナルハンカチを持ち帰ることのできるワークショップです。
子どもも大人も簡単に楽しめますので、ぜひお気軽にご参加ください!

□ 開催日時:10 月12 日( 土)、13 日(日) 13 時~ 17 時(※ 荒天時中止)
□ 会場:合同ビル玄関前広場(the three konohana の左隣)
□ 定員:1 日50 名まで(予約不要、定員になり次第終了)
□ 参加費用:ハンカチ1 枚 500 円(当日その場でお持ち帰り可能です)

協賛:株式会社 田中直染料店

* * *

このたびthe three konohanaでは、加賀城 健(KAGAJO Ken, b.1974)の個展を、Konohana’s Eyeの第2弾として開催いたします。

近年の日本の現代美術の領域における工芸の取り上げ方については、いささか現代人の思考に迎合していると感じざるを得ません。工芸の「ものづくり」的解釈に基づいた明確な手仕事の量的蓄積や、実用性に由来するスタイリッシュなフォルムなどの着眼には、コマーシャル的なポピュラリティーの創出が優先されているように思えます。「きれいかつ丁寧な造形」としての単純明快な基準が、これまた単純明快な権威である工芸の伝統によって支えられるという構図で、現代美術の領域に受け入れられている状況は、本来の現代美術の方向性との矛盾を感じざるを得ません。現代美術とは、既存の価値観にはないイレギュラーなものを取り上げることで、そこから未来への指針や方向性を見いだすものとしてあるべきと考えます。工芸の既存のフォーマットをただ現代美術にシフトさせることだけで、果たして未来に受け入れられる正統な革新となりうるのでしょうか。

加賀城は、これまでの作家活動の中で培ってきた、染色の伝統的な技法および素材における豊富な知識を駆使して、それらを現代的な表現へと昇華させていく多種多様な作品群を生み出し、工芸と現代美術双方の領域で国内外問わず精力的な発表活動を続けてきました。昨秋の『奈良・町家の芸術祭 HANARART 2012』のメイン会場の一つ、大和郡山市の遊郭建築、旧川本邸で開催された『「記憶」をゆり動かす「いろ」』展で発表した、建物内の吹き抜けの中庭を巨大な2本の鮮やかな布で包み込んだダイナミックなインスタレーションは、まだ多くの方々の記憶に新しいかと思います。

布に色を差して描く染色と、色を抜いてかたちを表出させる脱色。加賀城はこれらの対照的な技法を使い分けながら、自らの身体感覚を反映させるための積極的なアプローチと、染料や糊などの素材の特性による自然かつ偶発的な反応に委ねるアプローチを、その場に応じた的確なバランスで作品上に反映してきました。こうした意識の先に行き着くものは、染色が作り出すミクロとマクロの宇宙の共存だと加賀城は言います。両極にある表現や概念の存在を常に意識して、染色の素材や技法が直接的に表出させた細部の質感や触感を喚起させるミクロの視点と、染色を施した布の実用性を誇張させることにより空間性を強調するマクロの視点が、彼の表現においては常に平等のものとしてあります。この彼の揺るぎ無い平衡感覚が、染色と現代美術双方の領域を横断することを可能にしています。あえて明解なものは選択せず、両者の狭間にある未知の概念に自らを没入させることに意識を置き続けているのです。

2年ぶりの個展となる当展は、これまでの加賀城の「空間概念」への多様な解釈を一度に集結させ、平面性と空間性があらゆる形態で並存するインスタレーションに主軸を置いた展示となります。加賀城の技術や表現によって恣意的に操作されるもの、鑑賞者の視点や感覚によって左右されるもの、そして弊廊の空間の特性が反映されたもの、それらが無数のバランスでもって、可変的なインスタレーションが構築されていきます。彼にとって、ここ10年継続してきた工芸と現代美術双方へのアプローチが一つの世界観の中で結集される、近年の総決算的な内容となります。そこには安易な単一のキーワードはありません。あえて加賀城自らが置かれた立場に忠実に、淡々とヴァリアブルな空間かつ宇宙をここでつむいでいくこととなるでしょう。

工芸と現代美術、複数の領域を横断する表現が提示すべきものについて、現代の私たちの思考を問い直す機会になればと思います。ぜひご高覧賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

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《銀紙噛ム》 綿布、藍、バインダー/藍染、捺染 30 x 30 cm 2013 【当展出品作品】

 

2013-08-12
「SLASH/09 回路の折り方を しかし、あとで突然、わかる道順を」 展示記録

撮影日:2013年7月18日 撮影:長谷川 朋也

 

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2013-08-03
「SLASH/09 回路の折り方を しかし、あとで突然、わかる道順を」を振り返って

ttk開廊2つ目の展覧会となりました「SLASH/09 回路の折り方を しかし、あとで突然、わかる道順を」。
ttkの企画の3本柱のうち、作家ではなく専門ディレクターを招致しての企画「Director’s Eye」シリーズのこけら落としとして開催したものですが、ここにはディレクターの結城加代子さんの企画の意図が、ttkの現代美術に対する向き合い方と自然と合致した様を提示した内容となりました。

 

当展のタイトル「回路の折り方を しかし、あとで突然、わかる道順を」の通り、この展覧会の最大の目的は、鑑賞者に対する展覧会における鑑賞態度への提言だったように思います。まず展示スペースに入ったときのここの作品の印象が強くないこと、どこからどこまで(何から何まで)が「作品」なのかどうか、一見意味深には感じられるがこの作品配置に何の意図があるのか。この展覧会で4人が作った世界観は、いかに直接的なアプローチを避けるかという点にあったと思います。空間全体を概観しただけでは、何かここにあるのかはさっぱり分からない。そのためには個々の作品へと視界を絞っていく。その中で3人の作家の個性やテーマを読み取り、この3人の表現をどのようにカテゴリー分けしていくか。そこにはもちろん唯一の答えがあるわけではありません。その答えのごとに空間内の地図は複数発生していきます。この展覧会は鑑賞者の数だけその答えがあるというアプローチの元に、計算されて作られたものでした。これから述べる内容は、あくまでも私個人が見て自分の頭の中で作った地図です。

 

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まず、ホワイトキューブの展示から。この空間の展示が、まさにこれぞSLASHと言える作り方で出来上がったものです。作家3人の領域分けは明確だったものの、4人の意思疎通の中で明確に一つのコンセプトによる展示を作ろうと現場で苦心したものでした。この空間においては、作品に直接ベクトルが向く「かたちを認識する視覚」という、一般的な鑑賞で用いられる感覚に頼れない空間だったように思います。

藤田さんは、今回糸の作品を多用し、特に壁面2面を使った大規模なインスタレーションが印象に残っていると思いますが、実は糸の存在にその実態があるのではなく、糸が空間に差し込む太陽光に作用する、そのわずかな変化にその実態がありました。つまり、複数の糸の色が光や白い壁面、または糸同士が交わることで生じる色彩の変化は、糸そのものよりも、それに隣接する空気や空間に視点が向けられていきました。
小林さんは、素材に使った防災グッズよりも、そこに付与される彼女の詩の存在。作家の主観性が入るような手書きの文字ではなく、全て活字によってシートや切り文字として起こされた文字の集合体には、かたちについての意味性はなく、あくまでも文字による情報として、鑑賞者へ提示されていきました。各々の詩によって、防災グッズの意味性を解体するのは本来の小林さんの表現のコンセプトでもありました。
斎藤さんの2種類の映像は、彼自身の日常的な視点を断片的に切り刻み脈略を失くすかのようにつなげていくものですが、彼の映像で強調されるべきは「リズム」です。動画と静止画が切り替わるタイミングと個々の投影時間、そして映像にリンクされる時とされない時がある音声。視覚で受ける「像」はあくまでも「イメージ」に過ぎず、ここに彼の身体性を求めるならば、実体あるものは彼が編集という行為の中で恣意的に作り出した「リズム」に注目すべきなのです。

以上の各作家のアプローチから、当初の想定どおり多くの鑑賞者の方々がこの展示に戸惑ったわけです。視覚に頼らないこととしながらも、個々の作品は物質性を強調しており、視覚での認識へと誘導されざるを得ないものでもありました。しかし、視覚だけでは解答の導きには限界があり、まずは視覚以外の感覚からこのホワイトキューブの展示は読み取るべきであろうと思いました。

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そして、奥の和室からベランダへと流れるもう一つの空間。個々の作品作りはホワイトキューブと同じでしたが、どちらかというと個人担当制で作られた展示でした。しかし、この空間に対する取り組みは、ホワイトキューブとは対極の有機的な「サイトスペシフィック」であったと思います。
前回の伊吹展での使い方から一変して、非常にシンプルな展示になりました。このシンプルさは、もちろんホワイトキューブの展示と共通するものですが、そもそも空間自体の意味やシステムが対照的なので、近い手法を取ってもその表現は大きく変化します。そんな展示手法を取って提示したものは、このttkの和室展示室の細部への誘導でした。和室内は、藤田さんと小林さんが照明に施したコラボレーション作品のみ。それによって、室内の畳や窓やふすまや天井に至るまで、鑑賞者の方の視線は和室空間全体へと大きく動くことになりました。前回の伊吹展よりも、お客さんの和室に対する反応が特に多かったことがその現われだと思います。
ベランダ手前の土間付近に藤田さんの小品が複数並んで強弱をつけた後には、最後のベランダでは、1階へ降りる階段に斎藤さんのミニシアターが登場しました。特に最後の斎藤さんのベランダの作品は、ホワイトキューブで流された映像とは異なり、比較的長回しの映像素材が中心で、音声も映像とリンクしているものが多い作品でした。つまり、このttkの和室空間は、かつての生活環境を想像させる実体感のある空間として、その実体あるものとは何かを確認するために、もう一度視覚に戻るというアプローチだったのではないでしょうか。

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そもそも、この展示のコンセプトは「美術の展覧会を鑑賞することにおける、鑑賞者への態度の問いかけ」でしたが、その「視覚/見る」行為というものに焦点を当てるために、その周辺へと関心を誘導するものだったのではと思いました。もちろん「見る」ことが、ただ色やかたちを把握するだけではありません。しかし、どうしても答えを拙速に求めるあまりに、視覚以外の感覚をなおざりにしがちです。けれども、最終的には「視覚」は美術表現を読み取るためには必須の感覚です。そうした「道順」を鑑賞者が各自で見つけ出していく。その大切さを伝えようとした企画が、このttkで繰り広げられたSLASHだったのだと思います。

ttkの今後の企画でも、この結城さんたちが実践してくれたアプローチを意識して、鑑賞者の自発性をさらに喚起させる企画を作っていきたいと思います。

 

2013-08-03
SLASH/09展に関する、掲載プレビュー・レビューのご紹介

「SLASH/09 回路の折り方を しかし、あとで突然、わかる道順を」展につきまして、各所にてプレビュー・レビューをご掲載いただきました。

主だったご掲載記事を以下にまとめてご紹介させていただきます。当展をご紹介くださったみなさまに、心より御礼申し上げます。

・Lmaga.jp「小吹隆文のアート男塾-6月の10本ノック」(プレビュー/6月5日)
http://lmaga.jp/article.php?id=2234

・『美術手帖 7月号』 ART NAVI(プレビュー/6月17日)

・ブログ「プラダーウィリー症候群(Prader-Willi Syndrome)の情報のメモ」(レビュー/6月19日)
http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20130619

・ブログ「亰雜物的野乘」(レビュー/7月18日)
http://zatsuzatsukyoyasai.blogspot.jp/2013/07/directors-eye-1-slash09the-three-knohana.html