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2013-12-24
冬季休廊のご案内

the three konohanaの開廊1年目は、全ての展覧会の会期を無事に終了いたしました。
この1年ttkにご来廊いただきました多くのみなさま、多大なご支援や励ましをくださいました多くのみなさまに、厚く御礼申し上げます。

ttkは、12月30日(月)~1月5日(日)を冬季休廊とさせていただきます。
その間ご不便をおかけいたしますが、何卒ご了承くださいませ。

年明けは、1月11日(土)より展覧会がスタートいたします。
来年も、今年のようにみなさまのご期待に沿える展覧会をしっかり作ってまいります。
ttk2年目となる2014年も、どうぞよろしくお願いいたします。

 

the three konohana 山中 俊広

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2013-12-12
加賀城 健 展を振り返って

ttkでは3つ目の展覧会となりました、加賀城 健 展「ヴァリアブル・コスモス|Variable Cosmos」。たくさんの要素がふんだんに盛り込まれた展示となりました。そんな中で加賀城さんが訴えたことは、複雑に入り組んだ作品と空間構成による網の中に理路整然と編み込まれていました。加賀城さん自身にとりましても、今回の個展がこれまでの作家活動において大きな転換点となったことは明らかです。当展では特筆したいポイントが数多くありましたが、加賀城さんの表現を語る上で決して無視できない、「現代の工芸と美術の関係性」と「空間との向き合い方」、以上2つのポイントにあえて絞って言及していきたいと思います。

 

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まず、今回の趣旨文で強調しておりました、現代の工芸と美術の関係について。近年、工芸の領域が現代美術の領域に積極的に参入している状況において、多くの例が美術のフォーマットに沿った作品を作ることによって、その領域横断を正当化している状況は明らかです。加賀城さん自身も、ここ数年は絵画のレイヤー(重層)をテーマとした発表を続けていました。しかし、今回の加賀城さんの出品作品には、過去にはほとんど例のなかった実用性を加味したものが現れました。浴衣の反物、屏風、そしてカーテン。本来であれば、工芸の典型である実用性を示すことは、美術作品の位置づけと対極にありますが、加賀城さんは「工芸/染色」そのものをコンセプトとし、それから浮かび上がってくる要素を取り上げることで、造形や表現における思想を現代美術との比較を通じて提示するという手法へと展開しました。

染色のフォーマットを分かりやすく見ると、染料と布の2つの素材の接触によって生じる反応現象と捉えることができます。しかし、染色の技法には、型染、ろう染、絞り染など、多種多様な技法があります。また布についても、同じ綿布であっても布の織り方や厚さによって、バリエーションは同じく多様です。これら両者の組み合わせによって、染色そのものの表現の広がりは無限にあるのです。今回の出品作品は、染色の領域の深さを提示するためにテクニックの組み合わせを絞らずに、あえて技法と素材の組み合わせを多数提示する内容としました。加賀城さんが初めて作品に使用した染色技法も見られました。さらに、ここ数年の作品の傾向であった、バインダーなどを使って分かりやすく布上にレイヤーを生み出す表現ではなく、染料や顔料を布に原則的に染みこませることで正当な平面性を実現する作品によって、より染色らしさを前面に押し出した内容となりました。

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2つ目のポイントは、加賀城さんの空間への向き合い方です。美術のカテゴリーではインスタレーションという言葉がふさわしいですが、空間と作品の関係性を多角的により深く表現できたのが、今回の展示だったと思います。

まず、染色と空間の関係性について。二次元が前提となる染色の素材を用いて、三次元性を鑑賞者に提示するために加賀城さんが強調したのは、布の質感と可変性です。ホワイトキューブの展示で象徴的だったのは、2面の壁を横断した浴衣の反物《Line》と、空間の中央に配置した屏風型の作品《たとえば千年の森の王子》の2作品の対比です。

これら染色した大きな布をピンで壁打ちするスタイルは、加賀城さんにとってはスタンダードな展示方法ですが、壁打ちの方法だけでも相反した意味がありました。仕立てられて実用性を持った時には、体にやわらかく触れることになるはずの浴衣の反物《Line》は、一定のテンションとリズムを布に与えて壁面に張られました。従来はやわらかい印象を与えるはずの反物で、ここでは対極の硬質なイメージを提示しました。一方で、屏風型の《たとえば千年の森の王子》は、テンションをかけずに木枠に打ち付けることで、人が近くを通るとさざなみのように表面が動く現象を意識的に作り出しました。さらには、表裏に違う染め方をした布を張りつけて、両方向から奥側の布の模様が透ける現象も提示しました。つまり、布の質感を通じて鑑賞者に布のフレキシブルな特性を感じさせることで、鑑賞者に三次元の感覚を与えることになるのです。ただし、このホワイトキューブではあくまでも想像の中での三次元に気がつくという仕組みです。

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二次元と三次元の行き来が、より明確な体験を伴って実感を得られるものになったのが、和室の壁面4面を全て染色したカーテンで囲った《コスモス》でした。

鑑賞者は、和室内に入って色鮮やかなカーテンの中に囲まれて、染色に包まれるような体験を得ます。さらに、奥のベランダから入り込む風がカーテンの裾を不規則に揺らし、カーテン地の薄さによって外光を透過し、カーテン奥にある窓や扉が透けて見えることで、いわば二次元の布が三次元的な周囲の環境を包含していることに気が付くのです。物理的に染色は二次元ですが、実用的には人の手や体に触れることが前提とされているものであり、その触感を想像することによって三次元へ意識が移行していきます。染色には素材の可変性という特性に加えて、人間の視覚と触覚の接触によって他の素材技法よりも容易に次元を横断できることが、染色ならではの特性だと言えるでしょう。ここに、現代美術の領域でも論じるべきテーマが横たわっています。

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また、もう一つ加賀城さんの空間への意識的な関与として、これは彼の「インスタレーション」における哲学の典型である、いかに展示する環境を分析してそれを受け止めるかという点が、全ての展示で一貫していたテーマであったともいえます。

ttkに展示空間はホワイトキューブの大きな窓と、南向きの和室、ともに自然光が容易に空間に入りこむ環境です。つまりは、時間の移り変わりによって、空間内の明るさが大きく変化するttkの展示空間の特徴を読み取り、昼夜で作品の表情を変え、それぞれに意味と世界観を与える内容にしました。前述の和室の《コスモス》でも、南向きの日差しによって布が透けて空間の広がりを提示する日中とは対照的に、夕方から夜になると日光による透過が無くなり、布本来の色が強調されることで、ますます布に囲まれるような感覚を得ます。

もう一つの自然光を活かした作品が、ホワイトキューブの大きな窓の模様部分に擦り込んだグリッター(ラメ)入りの糊によるインスタレーション《情緒》でした。昼間は、窓の模様そのものが強調されて、糊のレンズ効果で少し外の風景の色が浮かび上がる状況を生み出し、夜になるとグリッターが内と外の明度の差によって全体的に光を放つという対照的な世界を作り出しました。

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これらの表現の元となっているのは、やはり染色の特性をしっかりと把握していること、加えて展示空間に隠されている物質的および時間的要素への配慮によるものです。美術という概念、展示という行為を通じて、非日常的な世界を作り出すという使命もありつつ、日常にありふれたものへの気付きから得られる想定外の発見も、共に現代美術がいまの私たちの社会や暮らしに与える一つの大きな役割だということだと思います。そのことを加賀城さんは強く意識して、自らの表現と作品でもって空間に立ち向かった痕跡が、この「ヴァリアブル・コスモス」であったのではないでしょうか。

 

最後に、加賀城さんの本質にあるものは、やはり「工芸/染色」という枠組みです。もちろんその枠組みの中でしか成立しないものや、枠組みを無視したただ奇抜なものを提示するだけでは、表現としての強度は生まれ出ません。個々の表現や提示のルーツが何であるかを明確にして、ミクロとマクロの視点を散りばめながら、より大きく深い世界観を提示することにより、正当な越境的な表現が成立するものだと思います。分かりやすく加賀城さんの思考をまとめれば、インプットは「素材と技法=工芸」、アウトプットは「展示=美術」と言えるでしょう。双方のベクトルの関係性と両者をつなげる論理性を突き詰めていくことこそが、現代の日本の工芸と美術の理想的な関係性を構築できる契機になるのではないでしょうか。

 

2013-12-08
Director’s Eye #2 野口 卓海  「まよわないために -not to stray-」 2014年1月11日(土)~3月2日(日)

the three konohana、次回の展覧会のご案内です。

開廊2年目、2014年最初の展覧会はDirector’s Eyeシリーズの第2弾となります。
「Yoha Public」の一員として、関西を拠点に展覧会・イベント・演奏会の企画や、美術評論を展開している、野口 卓海(Takumi Noguchi, b.1983)のディレクションによる「まよわないために -not to stray-」を、来年1月11日(土)~3月2日(日)の会期にて開催いたします。
【当初1/10~とお知らせしておりましたが、変更いたしました。】

出品作家は國政 聡志、田中 秀介、乃村 拓郎、三木 祐子+金崎 亮太の4組によるグループ展形式です。

【詳しくはこちら】

 

2013-12-05
外部の展覧会情報 13年12月

ttkとご縁のあった作家・ディレクターによる、ttk外での展覧会情報をお知らせいたします。

—–

今年、ttkにて「SLASH/09」に出品しました藤田道子さんが、東京・代官山のPOST PARTY DEPRESSIONにて個展を開催いたします。

藤田道子 Exhibition ”SHINING GIRL”
日時:2013年12月7日(土)~12月23日(月)
会場:POST PARTY DEPRESSION(東京都渋谷区恵比寿西2-18-6 WING#102 TEL:03-6416-115)
営業時間:月・14時~21時 / 火-金・13時~21時 / 土日・13時~20時

http://www.postpartydepression.net/

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2013-11-28
岡本 啓 展 ギャラリスト・トーク開催 11月30日(土)18:00~19:00

今年最後のttkの展覧会、Gallerist’s Eye #1 岡本 啓 展「Visible ≡ Invisible」連日多くのみなさまにお越しいただき、誠にありがとうございます。

ちょうど会期も折り返しの時期になりましたが、岡本啓展の関連イベントとして11月30日(土)18時から、岡本さんの取扱ギャラリーであり、当展にご協力いただいておりますYoshiaki Inone Galleryのディレクター山田浩之さんをお招きしてのトークショーを開催いたします。

当展の内容を通じて、改めて岡本さんの作家像について山田さんとttk山中の二人で考えながら語り合うという内容です。また「Gallerist’s Eye」シリーズの枠組みとして、ギャラリストと作家との協働とはどういうものかについても意見を交えたいと思っております。ぜひみなさまお誘い合わせの上、ご参加心よりお待ちしております。

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2013-11-22
【お知らせ】12/1(日)、7(土)、8(日)の開廊時間変更につきまして

なんばパークスで開催の「ギャラリストのまなざし」展のイベントの都合により、
12/1(日)、12/7(土)、12/8(日)の3日間、岡本啓展「Visible≡Invisible」のオープン時間を以下の通り変更させていただきます。

 

・12/1(日) 17:00~20:00

・12/7(土) 16:00頃~20:00

※ なんばパークスのトークショーにご参加の方で、ttkへご来廊ご希望の方は、
トークショー終了後にご案内いたしますので、現地にてお申し付けください。

・12/8(日) 12:00~16:00

 

急な変更により、みなさまには大変ご不便、ご迷惑をおかけいたしますが、なにとぞご容赦くださいますようお願い申し上げます。

 

the three konohana 山中俊広

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2013-11-13
「Visible ≡ Invisible」はじまりました!

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岡本 啓  《enlargement 2A》 ゼラチンシルバープリント 103.0 x 72.8 cm 2013 【当展出品作品】

 

先週から、ttk今年最後の展覧会、岡本啓展「Visible ≡ Invisible」がスタートいたしました!

会期1週目からお越しいただいた多くの方々から、これまでの岡本さんの作風を良い意味で裏切るような作品の数々に、たくさんの驚きの声をいただいております。
それもそのはず、岡本さんの代表的な表現スタイルである、鮮やかなカラーのフォトグラム作品とは全く対照的に単調な色彩が多いこと。さらにはこれまでの発表では見たことのない素材の作品群など、一見岡本さんの個展とは思えない展示になっております。

しかし、今回の展示の作品と従来の岡本さんの作品とは決して乖離しておりません。むしろ、「Visible」と「Invisible」を合同(≡)の記号で結んでいるタイトルのように、二つは明らかに表裏の関係にあります。そもそもの岡本さんのカラーフォトグラム作品の根底にあるコンセプトを、別の素材を使って少し掘り起こされていたり、従来の作品のモチーフの着想にあるような具体的なイメージを、少し浮かび上がらせるような仕掛けがあったり。これらが明確に理路整然と語られているようにttkの展示空間は構成されています。
また展示の印象も、過去3つのttkの展覧会とも全く違うものになっております。ttkの空間自体も展示ごとに見え方が大きく変わる点も、毎回お越しいただいている方々には必見です。

改めて、岡本啓という一人の作家のイメージを深く読み解いていくには最良の展示となっております。今回も決してキャッチではない、しっかりと思考と感覚を駆使して、時間をかけて展示を読み取るttkらしい内容になっております。

今回はオープン前に出品作品のイメージを公表しておりませんでしたので、この記事にて1点だけ出品作品をアップさせていただきました。この写真作品の画像だけでは、恐らくほとんどのみなさんが意味不明だと思います(笑)。この答えは、ぜひ岡本展の展示にてお確かめください!

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2013-11-08
「ギャラリストのまなざし」@なんばパークス【11/29(金)〜12/8(日)】

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このたび大阪芸術大学の主催による展覧会「ギャラリストのまなざし」を、なんばパークス7Fのパークスホールにて開催いたします。

ttk山中は、展覧会コーディネーターとして本展にかかわっております。関西で活動する大阪芸術大学出身の若手ギャラリスト6名が計10名の作家を紹介する企画です。ぜひご高覧くださいませ。

* * *

■ 開催概要
タイトル:
「ギャラリストのまなざし」 - Management for Artists –
大阪芸術大学グループ 美の冒険者たち なんぱパークスアートプログラム vol.10

開催日時:
2013年11月29日(金)~ 12月8日(日)会期中無休 11時~20時(最終日のみ17 時まで)

会場:なんばパークス 7F パークスホール
(〒556-0011 大阪市浪速区難波中2丁目10-70) 入場無料

参加ギャラリスト[ 所属ギャラリー] / 出品作家:
飯野 正紀 [Links(大阪)] / 豊島 舞、田口 美早紀
野元 大意 [Kobe 819 Gallery(兵庫)] / 山下 智史、島田 洋平
内田 千恵 [TEZUKAYAMA GALLERY(大阪)] / ノモト ヒロヒト
小谷 香織 [DMOARTS(大阪)] / 北 直人、鍛治本 武志
玉置 慎輔 [The Third Gallery Aya(大阪)] / 三田村 陽、多田 ユウコ
津嘉山 裕美 [Gallery OUT of PLACE(奈良)] / 大城 真

総合ディレクター:
谷 悟(大阪芸術大学 芸術計画学科 准教授)

展覧会コーディネーター:
山中 俊広(インディペンデント・キュレーター/ the three konohana 代表)

協賛:南海電気鉄道株式会社  会場協力:なんばパークス
主催:大阪芸術大学グループ  主管:大阪芸術大学 芸術計画学科

* * *

□ 関連イベント (※ すべてパークスホール内で開催いたします。)
・トークショー「ギャラリー運営の中でのアートマネージメント」
日時:12月1日(日) 14時~ 15時30分
出演:飯野 正紀 [Links]、野元 大意 [Kobe 819 Gallery]、山中 俊広[ 本展コーディネーター]

・トークショー「ギャラリーの現場で学ぶアートマネージメント」
日時:12月7日(土) 15時~ 16時30分
出演:内田 千恵 [TEZUKAYAMA GALLERY]、小谷 香織 [DMOARTS]、玉置 慎輔 [The Third Gallery Aya]、津嘉山 裕美 [Gallery OUT of PLACE]、山中 俊広[ 本展コーディネーター]

※ 各トークショー終了後、ギャラリストによる作品解説をおこないます。

ワークショップ「小さな幸せ“カールもどき”をつくろう!」
日時:12月7日(土) 16時~19時、8日(日)13時~16時
出演:田口 美早紀[ 出品作家]
企画運営:飯野 正紀[Links]、大阪芸術大学なんばパークスプロジェクトチーム

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■ 本展趣旨

近年、行政や企業などがスポンサーとなったアートイベントが数多く催され、「アート」が一般の人々にも徐々に身近な存在になってきています。こうした現場では、作品を制作・発表する作家にスポットライトが浴びるのは当然の話ですが、作家のサポートやイベントの細部を取り仕切る裏方的役割も欠かせない存在です。作家として活動する人々や作家を志す人々が、美術系大学を中心に常に多数輩出される一方で、アートの現場の裏方としての「アートマネージメント」に携わる人材の割合が少ないのが国内の現状です。海外に比べて、日本のアートの普及が弱いとされる大きな要因の一つであると考えます。

本展では、本学出身の20代および30代の6名の若い「ギャラリスト」たちが、各々の現場でサポートしている作家や今後の成長に注目する作家を、各々が紹介する展覧会です。「ギャラリスト」とは、画廊・ギャラリーを運営するだけではなく、作家の評価を高めるために様々な営業・広報活動や細やかな作家へのサポートをおこなうマネージャー的な動きをする立場の人間を指します。いわば才能を秘めた作家を発掘して磨き上げる、アートの領域の基盤を担う存在でもあります。近年のアートシーンや市場の複雑化によって、作家は制作に集中し、ギャラリストは作家周辺のマネージメントをおこなうという分業的な構図が主流となりつつあります。

これまでに相応の経験を積んで自らのギャラリーを運営しているギャラリストと、現在ギャラリーに勤務してノウハウを学び、将来的に独立や新たなアートマネージメントのスタイルを模索しているアシスタント職のギャラリストで、本展は構成しています。ギャラリストのアートに対する考え方も作家と同じく多種多様で、ギャラリスト自身も作家のマネージメントを通じて自らのメッセージを発信していると言えます。作家とギャラリストの協働がまず土台にあることを念頭に入れて本展をご覧いただくと、作家と作品の一方向のみに留まらないアートへの解釈が広がっていくことでしょう。

6名のギャラリストが本展で提示する様々なアプローチを通じて、アートをマネージメントしていくことの意義や、彼らのような職種が日本のアートシーンに欠かせない存在であることを垣間見ていただく機会になれば幸いです。

「ギャラリストのまなざし」展 コーディネーター 山中 俊広(インディペンデント・キュレーター/ the three konohana 代表)

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2013-11-08
Gallerist’s Eye #1 岡本 啓 展「Visible ≡ Invisible」

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・岡本 啓 展を振り返って

・岡本 啓 展「Visible ≡ Invisible」 展示風景

・岡本 啓 展に関する、掲載プレビュー・レビューのご紹介

 

Gallerist’s Eye #1
岡本 啓 展「Visible ≡ Invisible」

2013年11月8日(金)~12月23日(月・祝)

開廊時間:木曜~日曜 12:00~19:00 (※12月23日は月曜日ですが開廊いたします)
休廊日:毎週月曜~水曜
会場:the three konohana

協力:Yoshiaki Inoue Gallery

オープニングパーティー:11月8日(金)17:00~21:00

ギャラリスト・トーク:11月30日(土)18:00~19:00
山田 浩之(Yoshiaki Inoue Gallery ディレクター)、山中 俊広(the three konohana 代表)

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【開廊時間変更のお知らせ】
なんばパークスで開催の「ギャラリストのまなざし」展のイベントの都合により、
12/1(日)、12/7(土)、12/8(日)の3日間、岡本啓展「Visible≡Invisible」のオープン時間を以下の通り変更させていただきます。
みなさまにはご不便ご迷惑をおかけいたしますが、なにとぞご容赦くださいませ。

・12/1(日) 17:00~20:00
・12/7(土) 16:00頃~20:00
12/8(日) 12:00~16:00

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the three konohanaの開廊1年目の最後の展覧会は、独特の手法による写真作品を主に制作する岡本 啓(Akira Okamoto, b.1981)の個展を開催いたします。当展は、弊廊の3本柱の企画のひとつである「Gallerist’s Eye」シリーズのこけら落としとして、Yoshiaki Inoue Gallery(大阪)の協力にて開催いたします。

岡本の作品は写真を主なメディアとしていますが、フィルムを媒介した一般的な写真表現とは異なり、暗室内での作業が制作において重要な位置を占めます。現像液や光を用いて印画紙の上に色やかたちを直接描く、フォトグラムという手法を彼は用いますが、一般的なモノクロではなくカラーで描くことで、彼独特の表現を深めてきました。

彼が写真の技術を駆使して絵画的な表現をおこなうことの意味は、写真と絵画という平面表現を代表する二つのメディアによる「イメージ」の問題提起であるように思います。彼の抽象的なかたちを印画紙に表出させる行為は、現実を転写するものではなく、写真と絵画双方の領域における画面の構成要素となる色彩の存在を強調させるものです。さらにこの現像液や光を用いての恣意的かつ感覚的な制作過程には、それぞれの素材による化学反応としての偶然性をも内包しており、全てが計算された構図で成立しない事実を提示して、現実と虚構の共存もほのめかしています。

そして、作品内に含まれる色やかたちの使い方にも、彼独特のアプローチがあります。そもそも写真とは、私たちの現実の視覚を切りとったものとされる一方で、現実のまま忠実に再現できるものでもありません。彼の作品には、具体的な何かに見えるかたちが頻繁に現れます。しかし、それらは意図的に色彩を組み合わせたものに過ぎなかったり、偶然的に現れたものであるなど、画面上に現れるかたちそのものに大きな意味はありません。つまり、他者の思考や記憶によって作られた虚構のイメージです。一方で近年は、実際に何かを撮影したフィルムを従来の作品に重ねて現像した作品も登場しています。従来の彼の写真の素材を使って「描く」行為は、一般的な絵画と同様に、彼の何らかの経験が契機となって画面上で構成されていくものです。素材・ジャンルとしての写真を再定義させつつ、現実空間に見えるものと見えないものを再構成させるメディアとしての絵画の存在をも強調していく現在の彼の関心は、両者の美術表現としての関連性の分析へと向いているように思います。

当展の枠組みである「Gallerist’s Eye」は、作家が所属するギャラリーなどで従来発表している表現スタイルと異なる、新しい側面を浮かび上がらせることを目的とした企画です。当展で岡本が新たに挑戦するものは、鮮やかな色彩を排除したモノクロームの世界とギャラリー空間を使った本格的なインスタレーションとなります。つまり、彼が主たる作品としてきた写真としての作品は今回展示されません。彼の表現において代表的な特徴である鮮やかな色彩、その背後にあるイメージを探る内容となります。

彼の写真作品の着想の源泉としてのオブジェやドローイングなど、多種多様な作品群をホワイトキューブと和室の展示空間に対照的に構成して、彼の概念的な世界観を展開いたします。従来の色彩豊かな表現は影を潜め、あくまでもかたちや物質感といった具体的な物象が提示されていきます。それによって強い印象を与える要素よりも、一つ一つの静的なイメージが論理的にその関連性を組み立てていく展示となることでしょう。

人間は、表層にはっきりと存在するものを把握することによって、そこにある物象を認知します。岡本の作品では、それが色彩と写真になりますが、それはあくまでも枠組みを把握したことにしか過ぎません。彼がこれまで作品の深奥にひっそりと隠してきた、現実空間で把握できないイメージへ向かう過程に当展の主題を絞ることによって、漠然と見えるものとしての表皮ではなく、概念としての表皮とその本質へと思考をシフトさせる重要性に気づいていただければと思います。この機会にぜひご高覧賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

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《PHOTOGRAPHIC MEMORY》 発色現像方式印画、古道具
客間 240.0 x 290.0 cm / 大階段 280.0 x 193.0 cm 2012 [撮影:長谷川朋也 / 奈良・町家の芸術祭 HANARART 2012]

 

2013-11-06
KAMO 9th Meeting 【11/16(土)20:00〜】

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2013年11月16日(土)20時〜23時(19時半開場)
会場:OTONARI(大阪市此花区梅香1−15−18 梅香堂のお隣)
トークゲスト:小吹隆文さん(美術ライター)

ここ5年ほどの間に、アート情報を発信する媒体は大きく変化しました。ここ最近のインターネットやSNSの劇的な普及によって、関西でこれまで主流だったぴあやエルマガジンの二大情報誌が姿を消す中で、アート情報を専門に取り扱うHPが数多く台頭し、TwitterやFacebookもそこに拍車を掛けるように、他の分野と同様にインターネットが主たる情報発信源となりつつあります。更にはネットと連動したフリーペーパーも随所に見られるようになっています。

関西を中心としたアート情報を、最近はライターとしてのみならず様々な動きで発信されている小吹さんに、現在のお仕事からかつてのぴあ編集部時代のことなども交えながら、昨今の「アート系情報媒体」についてお話いただきました。

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