乃村 拓郎
2014-01-14「まよわないため」に、まよい続けること
ttk2年目最初の展覧会がスタートいたしました。
11日から会期が始まりました「まよわないために -not to stray-」、最初の1週目は大変たくさんの方々にお越しいただきました。幸先良いttk2年目のスタートが切れましたこと、心より御礼申し上げます。
当展はDirector’s Eyeシリーズということで、ttkとしましても2度目のグループ展となっております。野口卓海さんのディレクションの下、ttkの空間をメディアの異なる4組の作家が構成しておりますが、昨年のDirector’s Eyeの結城加代子さんによる「SLASH」展と比較してご覧になられる方が多いかと思います。
昨年の結城さんの企画は、Director’s Eyeのこけら落としでしたので、この形式の完成モデルを提示していただくことを狙いとしておりました。結城さんのように第一線で活躍するディレクターを招くという意図よりも、これから表舞台にどんどん立っていくべき若手ディレクター・キュレーターに経験を積んでもらうことが、Director’s Eyeの本来の目的としております。
野口さんは、パブリックな会場での企画経験は多数積み重ねていますが、ギャラリーのような展示に特化したスペースでの展示は初めてになります。さらに、「まよわないために」の企画趣旨のように、現代の美術の文脈に特化したアプローチで展覧会を企画することも初めてのことです。一定の実績はあるけれども、更にここttkでの企画と展示を通じて、不足している経験を積み重ねて、今後のディレクター活動の展開への足がかりにしていただきたいと思っております。
野口さんのディレクターとしての個性は、これまでも多くの同世代の作家に対して執筆してきた評論文にあると思い、展覧会のオープンにあわせて新たなテキストを書いてもらいました。こちらはttkのみで配布しておりますので、お越しになられた際にはぜひご一読いただければ幸いです。また会期後半から終了間際に向けても、もう一度書いていただくようにお願いしております。
当展の展示構成も、昨年の結城さんの展示と対照的に4組の作家がはっきりと空間を分けた配置となっております。個々の作家の本来の表現プラスアルファによる展示内容から、80年代半ば生まれの作家たちの常々の表現の中にある共通点や相違点を探り出すことが目的となっていますので、その狙いにおいては意図どおりの展示となっております。じっくりと各作家の個性を認識していただき、また今回は久々に展示が一番奥のベランダまで広がっておりますので、ttkの空間を行き来していただきながら、彼らがいまの時代を「まよわないために」探り続けているものを一つ一つ見極めていただければと思います。
今年2014年のttkのラインアップは、30歳未満のいわば若手の作家・ディレクターで大半を占めています。当展も含め今年のttkの企画は、昨年と違って多少の荒削りさが随所に見られる内容になるかと思います。お越しいただきご高覧いただいたみなさまからは、ぜひ屈託ないご意見ご感想を多数お聞かせいただきたく思っております。みなさまの直接的かつ率直なお言葉を通じて、彼らの今後の成長と展開をサポートしていただければ幸いに思います。
2014-01-11Director’s Eye #2 野口 卓海 「まよわないために -not to stray-」
・『続・まよわないために -continuation of ”not to stray”- 』 text: 野口 卓海
・「まよわないために -not to stray-」 展示風景
・「まよわないために」展に関する、掲載プレビュー・レビューのご紹介
Director’s Eye #2 野口 卓海
「まよわないために -not to stray-」
2014年1月11日(土)〜3月2日(日)
開廊時間:毎週木曜〜日曜 12:00〜19:00
休廊日:毎週月曜〜水曜、1月19日(日)~26日(日)
会場:the three konohana
展覧会ディレクター:野口 卓海
出品作家:國政 聡志、田中 秀介、乃村 拓郎、三木 祐子+金崎 亮太
デザイン:前田 大介
オープニングパーティー:1月11日(土)18時〜21時
トークショー:2月8日(土)18時〜19時
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the three konohana 2年目の最初を飾る展覧会は、Director’s eyeの第2弾となります。関西を拠点に展覧会やイベント企画、そして美術評論をおこなう、野口 卓海(Takumi Noguchi, b.1983)の企画によるグループ展「まよわないために -not to stray-」を開催いたします。
野口は、アート全般の企画を金崎 亮太と共に実施するユニット「Yoha Public」を結成し、関西の百貨店での展覧会や演奏会を多数開催してきました。また、個人の活動として、同世代の作家を中心に作家評論なども執筆しています。
今回野口にとっては、ギャラリースペースでの展覧会は初めてのディレクションとなります。同世代の80年代生まれの作家4組による構成のグループ展を通じて、世代に共通する価値観を提示することを目的としています。
Director’s Eyeの本来の目的は、展覧会を企画する専任ディレクターの育成とその役割の必要性を強調することです。自ら提示した主題を明確に反映させる展示を実現し、それを改めて深く言語化していくことを実践する場になればと思います。
国内における80年代生まれの人々は、感受性の強い子供の頃にオウムのサリン事件や酒鬼薔薇事件などセンセーショナルな出来事を目の当たりにして、独特の物事の解釈が随所に見られる世代だと認識しています。同世代のディレクターによる同世代の作家へのディレクションを通じて、その世代の典型的な価値観を明確に提示してくれることを期待しています。
the three konohana 山中 俊広
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【当展趣旨】
本展覧会は、そのタイトルが指し示す通り「まよわないために」企画されました。美術のみに関わらず、いわゆる“現代”を取り巻く目まぐるしい状況の只中で、私たちはそれぞれに戸惑い、断続的なつまづきに辟易しながら、にも関わらず“どこか”を目指し続けています。まるで幻想のような“単一の目的地”の存在を、未だに私たちは妄信しているのかもしれません。しかし、大いなる“目的地”が明らかに失われた現代で、私たちはまずそれぞれの個人的な“現在地”についてこそ考えるべきではないか―いや、むしろ“現在地”についてのみ、私たちは互いに語りえるのではないか―本展覧会は、大体そのような出発点から歩き出しています。
今回取り上げる四組の作家は、主題・技法・媒体などそれぞれに全く異なります。が、彼らには共通して或る強度―つまり、“現在地”と“その道程”への強いつながりが感じられます。なぜ彼らがその表現へと至ったのか、論理的にも感覚的にも接近できる道筋がいくつも残されており、そしてその道を辿るような行為そのものが深く豊かな鑑賞と体験を生み出します。どこから・どのようにして“現在地”へとたどり着いたのか、時折立ち止まって確認し、その自らの道程をより深く見つめること。それは、現代美術の迷宮で「まよわないために」彼らが獲得した姿勢とも呼べるでしょう。そして、この姿勢にこそ、現代の若手作家における同時代性が立ち現れているのです。
当展ディレクター 野口 卓海
2013-12-08Director’s Eye #2 野口 卓海 「まよわないために -not to stray-」 2014年1月11日(土)~3月2日(日)
the three konohana、次回の展覧会のご案内です。
開廊2年目、2014年最初の展覧会はDirector’s Eyeシリーズの第2弾となります。
「Yoha Public」の一員として、関西を拠点に展覧会・イベント・演奏会の企画や、美術評論を展開している、野口 卓海(Takumi Noguchi, b.1983)のディレクションによる「まよわないために -not to stray-」を、来年1月11日(土)~3月2日(日)の会期にて開催いたします。
【当初1/10~とお知らせしておりましたが、変更いたしました。】
出品作家は國政 聡志、田中 秀介、乃村 拓郎、三木 祐子+金崎 亮太の4組によるグループ展形式です。